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12月02日-04号

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  1. 熊本県議会 2020-12-02
    12月02日-04号


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    令和2年11月 定例会               第 4 号              (12月2日)  令和2年   熊本県議会11月定例会会議録     第4号令和2年12月2日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第4号  令和2年12月2日(水曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(49人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            前 田 憲 秀 君            濱 田 大 造 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工労働部長 藤 井 一 恵 君     観光戦略部長 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   上 野 晋 也 君     会計管理者  本 田 充 郎 君     企業局長   藤 本 正 浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  岸 田 憲 夫 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   福 島 誠 治 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(池田和貴君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(池田和貴君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 山本伸裕君。  〔山本伸裕君登壇〕(拍手) ◆(山本伸裕君) おはようございます。日本共産党山本伸裕です。 2016年の熊本地震、そして新型コロナウイルス感染症、さらには7月4日の豪雨災害と、熊本県は度重なる苦難に直面しております。今まで暮らしてきた日々の生活、なりわいが奪われ、懸命に立ち直ろうと苦闘しておられる方々が多数いらっしゃいます。政治の役割は、そうした方々に希望を照らす支援策を示し、生活の再建と地域の復興を後押しすることであろうかと思います。そうしたことに私も貢献できるよう努めてまいりたいと決意しております。 今回は、豪雨災害問題とコロナ問題にテーマを絞って質問させていただきます。 まず、7月4日豪雨災害に関連し、なりわい再建支援の問題についてお尋ねします。 11月5日に、私は、なりわい再建補助制度の改善を求め、国への要請を行ってまいりました。この中で、以下のようなやり取りとなりましたので、県の対応を確認したいと思います。 まず1点目、なりわい再建補助金を申請する際のあまりにも煩雑過ぎる申請様式を改善すべきだと要望しました。例えば、設備の型番、写真など添付しなければなりませんが、流出したり、ボランティアが入っての片づけの中で処分されてしまったり、求められている書類をそろえることは極めて困難であり、途中で申請そのものを諦めてしまったという人も多いのが実態であります。 私は、国に対し、申請書類の作成、資料の提出を被災事業者の自己責任に委ねるのではなく、被害の実態を行政の側が掌握して、再建に必要な費用、設備を見積もることのできる専門員を一つ一つの事業所に派遣し、その見積りに応じた補助が受けられるような制度へと改善していただきたいとの要望を行いました。応対した中小企業庁経営支援部経営支援課長補佐からは、設備や資料が流されたことは重々承知している、どこまであるか、どこからないか、申請も含めて県に相談していただきたい、事業者の事情を伺って、県と一緒に判断していくとの回答をいただきました。ぜひ、熊本県として、制度の申請上の手続の困難さを強く国に訴え、改善を求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 第2に、現行制度は、原則として自己資金で復旧し、後に補助が支給される仕組みになっておりますが、自己資金が準備できなければ復旧に手をつけられません。そこで、改善策として、見積書を出せば補助が支給され、復旧工事完了後に精算できるように改善していただきたいとの要望を行いましたところ、同課長補佐からの回答は、概算払いもできる、県に相談してほしいとのことでございました。概算払いによる補助金の先行的支給が広く認められれば、借金してまで再建はできないと言って補助金の申請をためらっておられる方々にとっては、大変な希望を照らすことになるのではないでしょうか。ぜひ制度の改善を強く国に求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 第3に、定額補助制度についてであります。県南地域は、熊本地震においては直接的には大きな被害を受けなかった地域であります。ところが、定額補助が適用される上では、過去の災害被災が要件とされています。これでは、多くの事業者がせっかくの画期的な制度を利用できず、多くの事業者が最初からこの制度の適用を諦めてしまっている状況であります。要件の見直し、緩和を国に求めるべきではないでしょうか。 以上3点、商工労働部長にお尋ねします。  〔商工労働部長藤井一恵君登壇〕 ◎商工労働部長(藤井一恵君) なりわい再建支援補助金は、被災された事業者の方々にとって、事業再開に向けた力強い後押しになるものであり、積極的に活用いただきたいと考えております。 そこで、まず、必要な書類等がそろわない場合の申請についてお答えします。 議員御指摘のとおり、水害により、設備や書類が流されている場合があることは承知しております。 そのため、例えば、設備が流された場合には、購入先の記録やメンテナンスの記録による証明で、また、そのような記録がない場合には、購入先からの申立てで受け付けるなど、事業者ごとに対応しているところでございます。 引き続き、必要に応じて国とも協議しながら、一件一件丁寧に対応してまいります。 次に、概算払いについてです。 なりわい再建支援補助金では、熊本地震グループ補助金と同様に、事業の一部が完了し、その代金が支払われたものに対して、補助金の一部について概算払いを行うこととしております。 また、補助金をお支払いするまでの間、工事代金等の資金が必要な場合には、県でつなぎとなる制度融資を用意し、可能な限り事業者の負担軽減を図っているところでございます。 最後に、定額補助制度についてです。 この制度は、昨年の台風19号の際に、東日本大震災からの復興途上にある事業者に対して特別に措置されたものであり、これを参考として、熊本地震からの復興途上の事業者に対しても同様の対応を国に要望し、制度化されたものです。 また、過去の災害の影響、コロナの影響、令和2年7月豪雨という三重苦にある事業者の方が対象との要件は、本県を含む被災した9県共通のものです。ただ、特に被害が甚大であった本県では、上限額が他県より高い5億円に設定されました。 なお、過去の災害の影響については、熊本地震だけでなく、一昨年の西日本豪雨等で被災した事業者との取引に係る売上げ減など、間接的な影響も対象になります。 事業者の方々は一件一件事情が異なることから、まずは、この要件に合致するか否かを含め、その状況を御相談いただくことが大事であると考えております。引き続き、丁寧にお話を伺い、必要に応じて国とも協議しながら、事業者の皆様に寄り添って対応してまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 購入の記録を購入先からもらってと簡単に言われますが、設備だけでも、エアコンだのテーブルだの椅子だの大小もろもろ、事業所によっては数百にも及ぶ品物について、一つ一つそれぞれの購入先に証明を書いてもらうというのがいかに大変な作業かということは誰でも想像できるかと思います。 ある事業者の方からは、ドイツ製だとかフランス製だとか外国製の特殊な設備を入れていたので、購入先にドイツ語とかフランス語とかを使って証明書を出してくれるように交渉しないといけない、もう頭がおかしくなるというお話を聞きました。そして、補助金が支払われるまでの間は制度融資でつなぎなさいとのことですが、もう新たな借金はしたくないと言って諦めてしまう方が多いんです。 私は、人吉市のなりわい再建サポートセンターで状況をお聞きしましたが、このままでは人吉の中心商店街そのものがなくなってしまうのではないかという大変な危機感を抱きました。 人吉市で床上浸水の被害を受けた事業者は900件ですが、事業の再建や補助金申請について相談に来られた事業所は367事業所、4割にしかすぎません。同センターの調査によると、今年10月時点での調査で、事業を年内に再開できるかどうか分からない、再開するかどうか、まだ考えられないという方が5割もおられました。それなのに、なぜ相談される事業者が少ないのか。人吉市の事業者の半数以上が60歳以上、資本金1,000万円以下の小規模事業所が8割、自分の代で経営を終わろうかと考えている方々が多数であります。大変な被害を受け、再建しようとすれば莫大な費用がかかるけれども、借金はしたくない、補助金を受けようとしても手続が大変、それだったらもう諦めようかとなってしまっているんじゃないでしょうか。 商店街を歩けば、あの店ももう辞めらす、この店も辞めらすという話をお聞きします。せっかく事業の再建を支援する制度があるのに、被災事業者が全県で2,400事業所ある中で、現時点で申請まで至ったのは111件、うち人吉市はというと、僅かに47件です。交付決定に至っては、全県で14件、人吉では5件です。定額補助制度に至っては、申請そのものが数件という現状なんです。何のためにせっかくの制度があるのかと残念であります。 もう発災から5か月です。申請したかったら相談に来てくださいという待ちの姿勢では、被災地の商店街は消滅しかねません。町の再建どころではなくなります。たとえ提出物をそろえることができなくても、自分で申請書類を準備できなくても、補助を受けられる道はありますから、諦めないで再建しましょうと、県や市が、被災事業者に向けて、一歩足を進めて語りかけていく姿勢が必要だと思います。 そして、国に対して、こんな膨大な資料を被災者が準備できるわけがないと、手続を簡素化しないと、多くの事業者の再建の道が閉ざされてしまうと強く訴えるべきであります。ぜひ県がさらに踏み込んだ支援に足を踏み出すよう求めて、次の質問に移ります。 球磨川、川辺川の治水対策についてお尋ねします。 質問の内容上、犠牲になった方々の状況を取り上げさせていただくことになります。謹んで犠牲者の皆様にお悔やみを申し上げますとともに、犠牲になられた皆さんの無念を絶対にあやふやにしてはならないとの固い決意に立って質問をさせていただきます。 まず、スクリーンを御覧ください。(資料を示す) 人吉市内の地図であります。地図の画面上右端の縦に流れる河川、これが山田川です。一方、画面の左、上から下に向かって球磨川に流れ込んでいる川が万江川であります。赤色の丸で囲み、①と記入しておりますが、右の①であります。今回水害で亡くなられた紺屋町のAさんの事例を取り上げさせていただきます。 付近に設置された防犯カメラの映像には、7月4日午前7時半頃から、球磨川の方向からではなく、山田川の方向から水が押し寄せてくる映像が生々しく記録されております。7時50分頃には水の高さは2メートルにまで及び、Aさんは、お母さんに「助けて」という電話をかけられたのを最後に犠牲になってしまいました。 スクリーンで、次の写真を御覧ください。(資料を示す) 映された写真は、私が7月4日午後5時20分頃に撮影した五十鈴橋の状況であります。上流側の欄干に多くの草などが引っかかっており、山田川上流からの水が人吉市街地に向かって流れていった様子が分かります。 もう一度、元の画面に戻していただけますでしょうか。 下林町で亡くなられたBさんの事例ですが、赤い丸、左の場所であります。②と記入しています。球磨川沿いの地点から約6メートルほど高い場所であります。近所の方のお話を聞くと、ここでは午前7時半頃には水が押し寄せてきたとのことであります。Bさんは、御家族と一旦2階に避難されたのですが、犬を助けないといけないと下りていかれたところを流され、犠牲になられました。万江川から、そして御溝から押し寄せてきた水流によって犠牲になられたのではないかと推察されます。 私は、人吉市で亡くなられた方々お一人お一人について、亡くなられた際の状況をお聞きしてきました。亡くなられた原因の多くは、球磨川本流からの越水によるものではなく、支流である山田川、万江川が先に氾濫し、その水がどんどん市内を流れる福川や御溝を伝って相対的に低い地帯に水が押し寄せてきたことによるものではないかとのお話でありました。 私は、二度とこうした犠牲を生んではならないというのなら、まず犠牲になってしまった方々の原因をきちんと検証しなければいけないと思います。ましてや、山田川、万江川は県管理の河川であります。犠牲になった方の無念を思えば、検証を曖昧に終わらせてしまうことは絶対に許されません。ダムがあれば、人吉で洪水面積の6割を軽減できたという検証委員会の結論から出発するのでなく、犠牲になった方々の状況をきちんと検証することから出発し、二度と犠牲を生まないための対策を講じることが、まずやるべきことではないでしょうか。 こうしたことがはっきりしないまま、ダム建設という方向だけを早々と決めるというやり方は、拙速ではないでしょうか。改めて検証をしっかりやり直すべきだと考えますが、知事に御答弁を求めます。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 豪雨災害の検証を踏まえた治水対策についてお答えします。 令和2年7月球磨川豪雨検証委員会においては、流域の安全に責任を負う国、県、流域市町村が連携し、河川の水位や被害状況、治水対策の効果、初動対応などについて検証を行いました。 その中で、県は、市町村とともに、災害発生直後の初動期における市町村の対応状況や流域住民の方々の避難の状況などについても検証を行いました。 この検証に当たっては、球磨川流域において、犠牲者が発生するなど被害が甚大であった人吉市、球磨村、芦北町、八代市坂本町、相良村、山江村を調査対象としました。 調査では、気象や避難勧告などの情報伝達、住民の方々の避難行動などの当時の状況について、市町村へ文書での確認を行うとともに、担当職員に直接ヒアリングを行いました。 さらに、人吉市、球磨村、芦北町、八代市坂本町の犠牲者が発生した地区を含む23地区、26人の住民の方々にヒアリングを実施しました。 その中で、住民の方々へ避難情報などがどのように伝達されていたのか、どのような避難行動を取られたのかなどについてお聴きしました。 その結果、夜間に想定を超える豪雨に見舞われ、急激に水位が上昇したこと、雨音の影響などにより、自治体からの防災無線などによる避難の呼びかけが住民の方々に十分伝わらなかった事例がありました。 また、宅地かさ上げなどの河川整備により安全が確保されていると判断され、避難が遅れた事例がありました。 さらに、高齢者など避難に支援が必要な方については、市町村による個別計画はおおむね策定されていたものの、今回のような想定を超える大規模な災害では、避難の呼びかけにとどまり、計画どおりの支援が実施できなかった事例がありました。 今回の豪雨では、このような要因が複合的に重なり合い、人的被害が生じたものと考えています。 また、検証委員会では、球磨川本川に加え、支川である県管理河川についても検証しました。 具体的には、主要な支川における浸水範囲や施設被害の概要、支川で観測した水位や監視カメラの画像などを活用し、分析しました。 その結果、人吉市の山田川については、流域住民の方々から収集したカメラ映像証言情報等を基に、球磨川の水位が上昇した影響で山田川の水位が上昇するという、いわゆるバックウオーター現象により、越水が下流から上流へ向かって広がっていった様子を時系列で確認しました。 検証委員会では、仮に現行の貯留型の川辺川ダムが存在した場合の効果についても検証しました。その結果、人吉地点で約1.9メートルなどの大きな水位低減効果があるものの、全ての被害を防ぐことができないことが分かりました。 また、有識者から専門的な見地に基づく御意見をいただく中では、ダムの効果が過大に検証されるのではないかという御意見、そして今後は地球温暖化の影響による不確実性に備えた治水計画が必要という御意見などがありました。 これらの検証結果及び御意見を踏まえて、私は、知事として、ダムの効果を過信することはできないが、被害防止の確実性が担保されるダムを選択肢から外すことはできないと判断しました。 その上で、新たな流水型ダムを含めた河川の整備に加え、遊水地の活用、森林整備、避難体制の強化などのあらゆる対策に取り組み、さらに自然環境との共生を図りながら、地域全体の総合力で安全、安心を実現していく緑の流域治水を進めることを決断しました。 今後、国、県及び流域市町村で設置した球磨川流域治水協議会において、時間的緊迫性を持って、支川を含めた流域全体でのハード対策、住民への情報伝達避難体制の強化などに係るソフト対策を検討し、実施してまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 知事、私が聞いていることだけ簡潔にお答えください。初動期の対応だとか、避難の情報、行動がどうだったかとか、地球温暖化の影響とか、そういう質問はしておりません。質問時間が限られておりますので、よろしくお願いします。 私がお聞きしたのは、人吉地区においては、球磨川からではなく、支流である山田川、万江川、さらには御溝や福川からの越水によって亡くなった方が多数ではないのか、そうだとするなら、今回のような災害を二度と繰り返してはならないということの結論がダムだというのは、多くの方が納得いかないのではないかということです。 答弁の中で、山田川の越水はバックウオーターであったというお話でしたが、バックウオーターではないでしょう。先ほど私が撮った写真を御覧になられたでしょうか。山田川の上流から流れてきた水が、越水して欄干にぶつかって、市街地に流れ込んでいるんです。バックウオーターなら、こういう痕跡は残りません。山田川が越水したときにはまだ球磨川からの水は来ていなかったというのが、地元の方々からの共通した証言であります。 カメラ映像云々と言われましたが、カメラの映像に、北から南に向かって、すなわち、球磨川のほうに向かって水が流れている様子が、商店街に設置されていた防犯カメラに映っております。知事は、御自身の目で映像を確認されたのでしょうか。 しかも、検証委員会では、山田川の越水に関しては一定の検証があるけれども、万江川、福川や御溝などの状況の検証はありません。これで治水方向の結論を導くというのは、あまりにも乱暴ではありませんか。亡くなられた方々の無念、御家族の無念に報いる上でも、知事、ちゃんとした検証をやり直すべきであります。そのことを強く求めます。 時間がないので、次に進みます。 次に、人吉市街地の被害についてお尋ねします。 知事は、今回の豪雨災害の検証では、ダムがあれば、人吉地点で1.9メートル水位を下げ、洪水面積を6割減らせたことが、丁寧かつ客観的な検証結果で示されたとおっしゃいました。しかし、検証では、川辺川ダムによる効果ばかりが強調され、ダムによらない治水案についての検証がまともに行われていないのではないかと感じます。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) この図は、検証委員会の結果を基に、私が作成したものであります。ちょっと字が小さくて見づらいかもしれません。議員の皆さんは、お手元の資料を御覧ください。 上の①は、川辺川ダムがもし存在したとしたら、1.9メートル水位が下げられましたという絵であります。 次に、下の②ですが、これは、国交省が示したダムによらない治水案の一つ、堤防かさ上げ案を中心対策とした組合せ案を図に示したものであります。遊水地等によって0.8メートルの水位を低下させるという計画と堤防を1.3メートルかさ上げするという案であります。この計画を組み合わせるならば、合わせて2.1メートルの水位上昇に対応できるということに計算上なるわけです。 ところが、検証委員会が出した検証結果においては、左の下の図②のように、堤防かさ上げの前提が抜け落ちています。0.8メートルの水位低減効果しかありません。したがって、今回の水害においては、この堤防かさ上げ案では、計画高水位を大きく超えますという検証結果になっております。なぜ、堤防かさ上げ案と言いながら、堤防かさ上げ効果を示さないのでしょうか。 そこで、代わりに私が作成しました。それが③、下の右の図であります。もし、国交省が示す堤防かさ上げ案がやられていたとするならば、この図のとおり、人吉市においては、洪水は堤防を越えることはなかったのではないかと思われます。川辺川ダムがあれば1.9メートルの水位低減効果ということばかりが強調されますが、国交省自身が示した案なんですから、こうした検証結果もきちんと示すべきであり、その上で今後の治水対策を協議すべきではないでしょうか。 知事に見解を伺います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 人吉市街地治水対策についてお答えします。 令和2年7月球磨川豪雨検証委員会においては、ダムによらない治水を検討する場で積み上げた対策について、全て行ったと仮定した場合の効果を確認しました。球磨川治水対策協議会で検討した組合せ案10案についても検証いたしました。 この10案については、戦後最大の被害をもたらした昭和40年7月洪水に対応できる治水安全度を目標として、この安全度を確保するための治水対策の手法を比較検討し、国、県及び流域市町村の間で共通認識を得ることを目標としてきました。 しかし、各案について、事業費が約2,800億円から1兆2,000億円、工期が30年から50年以上かかること、また、例えば遊水地案は、上流域の多くの優良な農地が消失すること、放水路案は、河川や海域の環境への影響や下流の水位上昇などについて、流域市町村から懸念が示されたことなどから、結果として共通認識を得るには至らなかったものです。 検証の結果、これらのダムによらない治水対策については、その全てを実施した場合でも、今回の豪雨災害に対して、一定の水位低減効果は見込まれるものの、全ての被害を防ぐことはできなかったことが分かりました。 今回の豪雨災害では、球磨川本川及び支川の川辺川の各水位観測所で、観測開始以来最高の水位を記録しました。 このため、地球温暖化の影響による不確実性に備えるためには、洪水を貯留し、流域全体で確実に水位を下げる効果のある、新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水を進めていく必要があると考えました。 議員御指摘の0.8メートルの水位低下と1.3メートルかさ上げの計画の組合せは、球磨川治水対策協議会で検討していた10案のうち、堤防かさ上げ案として検証しました。 その結果、人吉地点から下流においては、計画高水位を大きく超える水位となり、安全に河道内を流すことができないことが分かりました。 また、堤防を高くすると、計画を上回る洪水が発生した場合には、河川水位が高くなり、家屋の移転に加えて、水害時のリスクが増大するという課題があることも確認しました。 さらに、今回の豪雨では,人吉市より下流の球磨村や八代市坂本町でも甚大な浸水被害が発生しました。このため、ダムによる洪水調節を行わず、人吉地区の堤防かさ上げなどを優先して進めることは、被災した下流への影響などを考えても難しいと認識しています。 今後、検証委員会の検証結果を踏まえ、球磨川流域治水協議会において、人吉市街地治水対策を含めて、できるだけ早い時期に、今すぐに取り組む対策を取りまとめた球磨川緊急治水対策プロジェクトを策定し、実施してまいります。 その上で、今年度末までに、中長期的に取り組む対策も含め、あらゆる対策を総動員した球磨川流域治水プロジェクトを策定し、抜本的な治水対策を進めてまいります。 そして、流域住民の方々から特に御意見の多かった河床掘削については、国、県の役割分担の下、来年の梅雨前までに、流域住民の方々の目に見える形で堆積土砂の撤去が進むよう、時間的緊迫性を持って取り組んでまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 知事、くれぐれも答弁は簡潔によろしくお願いいたします。 結局、堤防かさ上げ案というのは、計画高水位を超える水位になってしまい、安全に河道を流せない、また、堤防を高くすると河川水位が高くなり、水害のリスクが増大するというお話をされました。しかし、水の高さが上がれば災害のリスクが増えるというんだったら、ダムほどリスクが増える構造物はないではありませんか。それなのに、もしダムがあったらという検証はしっかり示しているのに、かさ上げ案は問題があるから検証結果は示さないというのはおかしな話であります。 計画高水位を超えるので、堤防は安全でないと言いますが、今回の水害では、計画高水位はおろか、パラペットも乗り越えて水が来たというのに、球磨川の護岸は、壊れずに立派に残っていたではありませんか。 それはともかく、ダムがあったらどうだったのかということを検証委員会が出すのであれば、堤防かさ上げがやられていたらどうだったのかという検証も出すべきであります。 知事が明確におっしゃらなかったので、再質問しますが、もしも堤防かさ上げ案が実行されていたとしたら、今回の水害は、人吉地区では越水しなかった可能性が高い、そのことは、知事、お認めになられますでしょうか。この点だけ端的にお答えください。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 計画高水位を超えたパラペットの部分を活用して洪水を流すことは、河川管理上、安全と捉えることはできません。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 知事、パラペットだけではないですよ。ハイウオーターレベルから1.5メートル堤防をかさ上げしないといけないという基準があるじゃないですか。だから、その堤防の高さを超えなかったんじゃないかというようなお話をしているわけです。 川辺川ダム計画は白紙撤回されたというのに、検証委員会では、もしダムがあったらという検証を行い、ダムによらない治水案は国交省が示しているのに、その検証結果すらまともに示さないというのはおかしな話であると私は思います。 ダム建設を決めたとしても、ダム完成までには、ダムによらない治水策を進めなければなりません。これは、ダム賛成の人も反対の人も一致できることではないかと思います。そうであるならば、どうやって住民を洪水から守るのか、堤防かさ上げ、あるいは国交省が最初から門前払いしている人吉地区の河道掘削など、ダムによらない治水策についても、もう一度真剣な検証が私はやられるべきであるということを申し上げて、次の質問に移ります。 次に、中流域の問題について、ダムがあれば命が守られるのか、逆に、ダム計画に固執したがために今回の惨劇が生じてしまったのではないかという重大な疑問についてお尋ねします。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す) データを基に、イメージ図を作成させていただきました。球磨川の中流域、球磨村大坂間では、2軒の住宅が流され、5人の方が亡くなられています。今は、ここに住宅がかつて存在し、一家の平穏な生活が営まれていたということすら全く想像できないような状況になっています。 赤い線が引いてあります。ここが、災害時、水がここまで上がったというラインであります。堤防の高さからおよそ4.9メートル上まで水位が達しました。ここで堤防のかさ上げ工事が完工したのは2008年、蒲島知事の川辺川ダム建設白紙撤回宣言の4年後であります。ところが、この工事は、川辺川ダムの建設によって、ここまで水位が下がりますという高さまでしかかさ上げされませんでした。 2001年に国交省が示した治水案によれば、大坂間地区では、計画高水位よりもさらに1メートルから2.5メートルのかさ上げが必要であるとされていました。なぜ、川辺川ダム建設白紙撤回を受けた後の工事であるにもかかわらず、あくまでダムを前提とした堤防の高さまでしかかさ上げ工事が行われなかったのでしょうか。ダムに固執して必要なかさ上げを行わなかったとすれば、国交省の責任は重大であると言わなければならないのではないでしょうか。こうした問題についてどのように検証されているのでしょうか。明らかにしてください。 結局、ダム計画というのは、下流部の水位低減効果を得ることが建設目的になります。逆に言えば、水位低減効果以上の高さに堤防を建設したり、かさ上げしたりすることはできないということになります。しかし、それでは、ダムが完成するまでは住民を守れない状況が続くということにならざるを得ません。知事が、二度と犠牲を生まないためにも、流域治水を全力で進めるというのであれば、ダムの水位低減を前提とした計画高水位にとらわれずに、堤防や道路、宅地のかさ上げを行い、今回水害の水量を前提とした河床掘削、橋梁のかさ上げ等を進めるべきではないでしょうか。そのことを明確に知事に表明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 球磨川中流部の治水対策についてお答えします。 球磨川中流部の宅地かさ上げについては、平成20年の川辺川ダム計画の白紙撤回前は、ダムを前提とした計画高水位を基準とした高さで整備を行っていました。 白紙撤回後は、第8回のダムによらない治水を検討する場において、球磨川水系における治水の基本的な考え方として、中流部の宅地かさ上げについては、直ちに実施する対策に位置づけ、近年の浸水実績などを踏まえ、順次整備することを確認いたしました。 その後、国において実施された球磨村大坂間地区の宅地かさ上げについては、戦後最大の被害が生じた昭和40年7月洪水の水位も踏まえた高さで整備されていると認識しています。 今回の7月豪雨では、この水位を大きく上回る想定外の洪水被害が発生しました。 私は、今回、球磨川流域の治水の方向性として、新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水をお示ししました。 今後、球磨川流域治水協議会において、今回の洪水を踏まえた具体的な対策や整備の進め方について検討し、流量低減後の水位などもお示ししていきたいと考えています。 この水位を踏まえた上で、堤防や道路、宅地などの復旧方法を検討していくものと考えています。 ただし、新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水に直ちに取りかかったとしても、その効果が発揮されるまでには相当の期間を要します。 今回のような想定を超える豪雨、さらにはそれさえも上回る豪雨は、いつ、どこで起きても不思議ではありません。そのため、河床掘削など早急に行うべき事業は、ちゅうちょなく、重点的かつ確実に実施してまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 昭和40年7月洪水の水位も踏まえた高さで宅地かさ上げが行われたとのことであります。川辺川ダムができれば、この堤防の高さで過去最大規模の水害は抑えられるという計算で造られたんです。しかし、なぜ、知事がダムによらない治水を極限まで追求するとおっしゃっていたのに、あくまでダムを前提とした堤防の高さにしか工事されなかったんでしょうか。これは重大問題と思われませんか。ダムによらない治水を進めるんだったら、さらにどれだけのかさ上げが必要だと国交省自身が示していたのに、まるでそのうちダムが復活するだろうと言わんばかりのやり方ではありませんか。 大坂間だけではありません。ダム白紙後にかさ上げや築堤されたほかの地区も同様であります。14人の犠牲を生んでしまった千寿園のある渡地区だって、2.5メートルの堤防かさ上げが必要だと書かれていたんですよ。何でやらなかったんですか。ダムによらない治水を極限まで追求するんだと言いながら、そして国交省はこれだけのかさ上げが必要ですと書きながら、何でダム前提の工事にとどめたんですか。 知事は、流水型ダムを含めた緑の流域治水の効果が発揮されるまでには相当の期間を要する、だから今回のような想定を超える豪雨、さらにはそれさえも上回る豪雨は、いつ、どこで起きても不思議ではないから、河床掘削など早急に行うべき事業は、ちゅうちょすることなく実施すると答弁されました。 ならば、知事、ダムによる水位低減を前提とした計画高水位にとらわれずに、今回の水害を記録した水量を前提として、堤防や道路、宅地のかさ上げを行い、河床掘削、橋梁のかさ上げ等を進めるべきではありませんか。私が尋ねた肝心なことに答えていらっしゃらないので、はっきり答えてください。再答弁を求めます。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 平成13年に国が示した堤防かさ上げ案は、川辺川ダム計画と他の治水対策案の比較検討であり、実施に向けた具体的な検討は行われませんでした。 大坂間地区を含めた中流部については、ダムによらない治水を検討する場で協議した昭和40年7月洪水を踏まえ、宅地かさ上げの整備を進めていると認識しています。 今後、球磨川流域治水協議会において、今回の洪水を踏まえた具体的な対策や整備の進め方について検討し、流量低減後の水位などもお示ししていきたいと考えています。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 今回の治水検証委員会の結果を見ると、ダムが完成したとしても、計画高まで水位は下がらなかったということが示されております。 たとえ今回の災害でもたらされた土砂などが撤去され、堤防が復旧したとしても、元の状態に戻すだけであれば、ダムができるまでに、また同じような災害が発生したら、また同じような被害が出てしまうのではありませんか。これも重大な問題であります。結局、ダムができても、今の堤防の高さでは中流域は守れないんです。本気でダムによらない治水を真剣に追求すべきではないかと考えます。 次の質問に移ります。 想定を超える雨が降れば、ダムは洪水調節機能を喪失する危険性があることは、貯水型でも流水型でも変わりがありません。そこで、もしそういう事態になれば、大変危険な状況に直面してしまうのではないかと危惧されている川辺川ダム下流の相良村川村や新村地域の河川整備についてお尋ねします。 相良村新村付近の河川状況の写真を御覧ください。(資料を示す) 当初のダム計画によると、最大流入量は、ダム上流で毎秒3,520トン、ダムで3,320トンカットして、下流に毎秒200トン流すという計画であります。流水型ダムを建設するとして、これだけの流量カットとなると、全国最大規模と言われる立野ダムをはるかに上回る超大規模な穴空きダムとなります。もし、このダムが洪水調節不能という事態に遭遇したらどうなるのか、想像することすら恐ろしい事態ではないでしょうか。 知事、この場所にダムができるから、河川改修する必要はありません、安心して住んでくださいと言われて、住もうという気持ちになれますか。今日の気候変動を考えれば、洪水調節機能喪失という事態を想定しなければならないのは当然であるし、こうした地区こそ急いで河川改修などの対策を具体化しなければならないのではないでしょうか。 知事にお尋ねしますが、ダムができるからといって、こうした地域の河床しゅんせつ、堤防強化を放置することは許されません。ダムが洪水調節機能を喪失する事態を想定し、直ちに河床掘削や堤防強化など、必要な対策を進めていくことを約束していただけますでしょうか。 次に、ダムによる環境悪化についてお尋ねします。 2005年に竣工した島根県の益田川ダムでは、供用開始後に同県が公表した環境調査によると、アユの遡上が阻害されている、土砂の一部は流れずに堆積するなどの点が明らかになったと報告されています。 球磨川、川辺川の清流は、人吉、球磨の地域経済にも、人々の暮らしにも深く大きく影響を及ぼしており、観光面でも最大の魅力を発信しているわけであります。清流が壊されてしまったら、地域の再建に取り返しのつかないほどの影を落としてしまうことは言うまでもありません。だからこそ、環境にも配慮すると知事が言われるのであれば、専門家が懸念の声を上げている環境に及ぼすリスクについても、きちんと検証すべきではありませんか。なぜ、懸念されるリスクについて検証もせずに、環境に配慮するなどということが言えるのでしょうか。お答えください。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) ダムの危険性、弊害の検証とダムに代わる治水対策についてお答えします。 まず、川辺川の県管理区間の治水対策については、これまで、球磨川本川との流下能力の調整を図りながら、河床掘削を中心に取り組んでまいりました。 令和2年7月球磨川豪雨検証委員会でも説明したとおり、県では、国土強靱化3か年緊急対策の予算などを活用し、川辺川の堆積土砂の掘削、除去を継続的に実施してまいりました。 一方で、今回の豪雨により、相良村の永江地区や高尾野地区を中心に、河川内に撤去が必要な土砂が約14万立方メートル堆積していることを確認しています。 そのため、災害復旧事業などにより、次の出水期までには可能な限り撤去できるよう全力で取り組んでまいります。 また、球磨川流域治水協議会において、川辺川も含めた球磨川水系全体での堤防整備や河床掘削などのハード対策、住民への情報伝達避難体制の強化などのソフト対策を検討してまいります。 その際、流域住民の方々に安心してお住まいいただけるよう、早急に行うべき事業は、ちゅうちょすることなく、重点的かつ確実に実施していくことをお約束します。 次に、ダムが環境に及ぼすリスクの検証についてであります。 新たな流水型ダムは、安全、安心を最大化するものであるとともに、球磨川の環境に極限まで配慮した、そして清流を守れるものであるということが必要であります。 この点を流域の皆様に確認していただくためにも、客観的かつ科学的な環境への影響評価が必要であり、法に基づく環境アセスメント、あるいはそれと同等の環境アセスメントの実施を国に求めてまいります。 あわせて、球磨川の環境に極限まで配慮し、清流を守る新たな流水型ダムとして整備が進められているのか、県や流域市町村だけでなく、流域住民の方々とも一体となって、事業の方向性や進捗を確認していく仕組みを構築してまいります。 これらについては、私は、表明の翌日に赤羽国交大臣にお伝えし、大臣から、全面的にその方向で考えたいとの回答をいただきました。 また、24日の大臣会見では、最新の技術を取り入れながら、安全と環境の両立をできる限り追求するとの心強い発言もいただきました。 今後、国、県及び流域市町村が一体となって、そして流域住民の方々の御協力もいただきながら、球磨川流域に安全と恵みをもたらす緑の流域治水に取り組んでまいります。 なお、議員から、なぜダムが環境に及ぼすリスクを検証せずに、ダム建設の方向性ばかりを先行して決めなければならないのかというお尋ねがありました。 新たな流水型ダムが環境に及ぼす影響については、ただいま申し上げたとおり、流域住民の方々と一体となって確認してまいりますが、治水の方向性が決まらなければ、住まいやなりわいの再建はできません。元の場所での再建、あるいは宅地のかさ上げ、高台への移転などを検討できないためです。 さらに、球磨川沿いを走る国道219号や流された多くの橋梁、JR肥薩線など、地域の重要な交通網の復旧にも着手することができず、復興まちづくりはさらに遅れることになります。 そのため、私は、被災された方々に一日も早く再建に向けて歩みを進めていただきたいという思いから、今回、新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水という方向性をお示しいたしました。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 蒲島知事、今まで聞いたことがないような早口で答弁していただいてありがとうございます。 最初にお尋ねした相良村のお話ですが、私がお尋ねしたのは、川辺川ダム計画があるために、ダムによる水位低減を前提とした範囲までしか堤防のかさ上げも掘削も行われないのではないか、つまり、ダムで洪水をカットするから、下流で流せる流量は毎秒800トンで大丈夫だということになってしまうのではないかということです。これはとても恐ろしいことです。 今日の気候変動は、緊急放流が起こり得ることを想定しておく必要があります。緊急放流というのは、雨が降る量が多ければ多いほど、また、降雨時間が長ければ長いほど、放流量はどんどん増加していかざるを得ません。ダムの下流は毎秒800トンしか流せないのに、3,000トンの水が押し寄せてきたらどうなるでしょうか。ダムがあるがゆえの恐怖を抱えながら、相良村の川辺川流域の住民は暮らしていかなければならなくなるのではないでしょうか。 だからこそ、ダムによらない治水で、このダムの制約を受けるような河川改修の水準を上回るような改修が必要なんです。そして、環境への影響については、ダム建設の方向だけは先に決めて、これからしっかり確認していきますというのは、極めて無責任であると私は思います。仮に環境への影響は避けられないということが分かったとしても、もう後戻りはできないということになるのではありませんか。 私は、9月議会の質疑において、12年前の知事の川辺川ダム白紙撤回、そしてダムによらない治水を極限まで追求するという決断は、県政史に残るすばらしいものであったと申しました。ただ、その後の12年間は、あくまでダム計画にこだわったがために、必要な治水対策が打たれてこなかったことが残念でなりません。 知事のダム建設容認への方針転換には、多くの流域住民、県民が失望しています。私たちは、これからも、もちろん球磨川、川辺川も含めてのことですが、ダムによらない総合的な流域治水を前進させていくために力を尽くしていく決意を表明して、次の質問に移ります。 新型コロナウイルス感染症についてお尋ねします。 感染者が急増しており、今感染の爆発的な拡大を抑えなければ、医療崩壊を防ぐことも、国民の命と健康を守ることも危うい状況になりかねません。 感染拡大を抑えるために今必要なことは、第1に、医療機関や高齢者施設、保育園や学校など、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等で、定期的に繰り返し無料でPCR検査を受けられるようにすること、いわゆる社会的検査の実施であります。 そして第2に、感染急増地となるリスクのあるところに対し、無症状の感染者を把握、保護するための面的な検査を行うことであります。 政府も、感染者多発地域などにおける医療機関、高齢者施設への一斉定期的な検査であるとか、感染状況を踏まえた地域の関係者への幅広い検査を打ち出しました。政府の資料でも、大規模、地域集中的なPCR検査を実施した東京都の歌舞伎町では陽性者数が減少したと、その効果を認めています。 熊本県においては、熊本市の繁華街などがそうした対象となるのではないでしょうか。市町村と連携して、大規模かつ地域集中的なPCR検査ができる体制を早急に確立すべきであると考えます。 そして第3に、感染者の急増に追跡業務が追いつかない事態を改善するために、保健所の体制強化と感染追跡を専門に行うトレーサーの確保が緊急に求められています。 私は、今熊本県全県で1日1万人以上の規模の検査を行うことを想定し、それを可能とする大幅な対策予算の拡充が必要ではないかと考えます。 国は、自治体任せのような印象でありますが、この際、国に強く予算措置を求め、検査、追跡体制の構築を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。 健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 新型コロナウイルス感染症に係る検査、追跡体制の強化についてお答えします。 まず、医療機関や高齢者施設等における検査についてですが、県では、クラスターの早期探知、早期収束のため、全国に先駆け、3月から検査対象を拡充し、高齢者施設等で感染者が一人でも発生した場合には、関連施設の職員も含めた幅広い検査を実施し、また、一度陰性であっても、必要に応じ繰り返し検査を行っています。 今後も、感染拡大防止のため必要と判断した場合には、ちゅうちょなく検査を実施してまいります。 次に、感染多発地域等における検査についてですが、熊本市中心部では、これまでに飲食店関連のクラスターが8件発生しています。県内への感染の拡大を防ぐためには、熊本市の対策を県としても全面的に支援し、一体となって進める必要があります。 熊本市においては、接待を伴う飲食店にとどまらず、市中心部の飲食店の従業員を対象とする臨時検査場を設け、症状の有無にかかわらず、定期的に無料で検査を受けられる体制を取っています。これまでに、県も必要に応じ人員を派遣し、また、県市合同で3回にわたり、延べ1,300件近くの店舗を個別に訪問して、緊急PCR検査の受検を呼びかけてきました。 引き続き、関係事業者との連携を深め、専門家の助言もいただきながら、市中心部における効果的な感染拡大防止対策に県市合同で取り組んでまいります。 次に、保健所における積極的疫学調査に必要な人員の確保については、会計年度任用職員の任用や本庁からの応援派遣等に加え、県外から公衆衛生の学会等に所属する保健師等の派遣依頼も検討しております。 なお、県では、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行に備えた診療、検査体制の整備に取り組んでいますが、これにより、現在、本県では、1日当たり最大8,600件の検査が可能となっており、これは、国が示した計算方法によるピーク時の検査需要7,600件を上回っております。 今後とも、全国知事会を通じ、必要な財政支援については国へ要望を行いながら、検査体制の強化を図り、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。
    ○議長(池田和貴君) 山本伸裕君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 県では、3月から検査対象を拡充しているとのお話でありましたが、それはあくまで感染者が発生したところの話でありまして、私が申しましたのは、感染者が発生してしまったら、たちまち影響が広がり、深刻な事態を招く、そうしたリスクの高い医療や保育、介護などの従事者については、社会的検査を実施するようにすることが必要ではないかということであります。ぜひ、さらなる積極的な検査体制の確立で、感染拡大を封じ込める手だてに力を尽くしていただきたいと思います。 最後に、要望を2点申し上げます。 重症患者の増加に医療の体制、人員が耐え切れなくなる医療崩壊の危機が迫っています。そうなれば、コロナ患者の救命ができないだけでなく、がんや脳疾患、心臓病や事故による大けがの患者なども救えなくなり、大量の死者が出る事態が起こりかねません。医療体制を維持強化するための抜本的な施策が必要であります。 この間、多くの病院、診療所が患者の受診抑制などによる大幅減収で経営危機に直面し、医療従事者の賃下げも起こっています。政府が決めた医療機関への支援策がすぐに現場に届くよう徹底するとともに、地域医療を支える全ての病院、診療所に減収補填を行い、また、不足している感染防護具や医療用機材を現場に届けることなども含め、国、県が全力で支えることを求めたいと思います。 次に、少人数学級の問題ですが、前日の一般質問に対する教育長からの御答弁で、国に対しても要望していく、県のほうも段階的に拡充を図っていくんだという御答弁がありました。前向きな姿勢を私も歓迎したいと思いますが、問題は、私は、この第3波襲来の中で、過密状態にある子供たちの教室をどうするのかという問題は、まさに今待ったなしに問われているということを強調したいのであります。 県内のある小学校の先生から、40人の学級に8人の特別支援学級の生徒が加わり、48人になる場合があるそうで、これはもう本当に超過密状態であります。日々、先生方も保護者の皆さんも、クラスターが発生するんじゃないか、子供たちの重症化が出てくるんじゃないか、一斉休校のような事態になったらどうするのかという不安を抱いています。ぜひ、子供たちをコロナから守るという観点から、直ちに対策を検討していただきますようお願いして、質問を終わります。(拍手) ○議長(池田和貴君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時1分休憩    ――――――○――――――  午前11時10分開議 ○議長(池田和貴君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 松野明美さん。  〔松野明美さん登壇〕(拍手) ◆(松野明美さん) 皆様、こんにちは。大変お世話になっております。松野明美でございます。議員の先生方からは、いつ質問をするのか、早くしろというようなお声を度々いただいてまいりまして、本日、いよいよとなりました。 今年は、新型コロナウイルスの影響で、多方面におきまして大きな打撃を受けました。中でも、東京オリンピック・パラリンピックの延期という出来事は、私、オリンピックの経験者といたしまして、本当に衝撃的な出来事でございました。また、私ごとではございますが、今年の2月の中旬から9月まで、全てのマラソン大会等のイベントが中止、キャンセルとなりまして、改めて、何が起こってもおかしくないこの時代の中で、何かが起こったときにきちんと冷静に判断ができるような、そんな準備、心構えが日頃から大切なんだということをつくづくと思った1年でございました。 そういう中で、自分に何ができるのか、県民に何が必要なのかと自分自身に問いながら、今回、6項目の質問を準備させていただきました。今期初めての登壇でございます。どうぞ最後までよろしくお願いを申し上げます。 最初の質問でございます。 このことに関しましては、恐らく日本だけではなく、今現在、世界中の方々が気になっている事柄ではないでしょうか。新型コロナウイルスワクチンについてお尋ねをいたします。 新型コロナウイルス感染者の急増を受けまして、東京オリンピックの先行きも見えぬ中、GoToキャンペーンも見直される事態となっております。経済と感染防止の両立には、やはりワクチンしかないのではないでしょうか。 新型コロナウイルスのワクチンの開発につきましては、国内外で各国、各社がしのぎを削っております。先月、日本が供給を受ける予定でありますアメリカ2社のワクチンが、臨床試験で90%以上の有効性が示されたと発表されるなど、期待が高まっております。 政府は、これまでに、海外の3社から計1億5,000万人分のワクチン供給を受ける契約や基本合意をしており、2021年前半までに国民全員分のワクチンを確保することを目指しているそうです。 また、厚生労働省は、来年前半にも可能性があるワクチンの接種に向けまして、地域の医療機関に適切に配分できる体制づくりを急いでおります。しかし、初期の段階では、全ての県民がワクチンを接種できる分を確保できないのではないでしょうか。 また、日本にワクチンが届いてから全国の各自治体にどれだけ配分されるか、まだ分かっておりません。やはり、国内では、東京オリンピック・パラリンピックを控えた東京やマラソン開催地の札幌などが優先されるのではないかと私自身は思っております。 自分はいつワクチンの接種が受けられるのか、また、ワクチンは感染を防止する効果がある反面、副作用の懸念もあり、安全性には問題ないのか、もしものときは補償はあるのかといった県民の関心も非常に大きいのではないでしょうか。最近は、非常に不安がっている県民の方によく会うようになりました。本当に深刻な問題だなと思っております。 現在、厚生労働省のホームページでは、新型コロナウイルスワクチンについての情報が公開をされております。その中には、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業の実施を各自治体宛てに示した資料もあります。この資料には、仮に来年初頭に新型コロナウイルスワクチンの供給が可能となった場合、速やかに住民に対する接種が行えるよう、あらかじめ準備を進めるよう要請されております。 都道府県の役割としましては、1、庁内体制の整備、2、ワクチンの流通調整の準備、3、医療従事者等への接種の実施体制の確保、4、専門的相談体制の確保などを行うようになっております。 そこで、お尋ねをいたします。 東京オリンピック・パラリンピック開催の切り札とも言えます新型コロナウイルスワクチンにつきまして、知事はどのようにお考え、どのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか、お尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) ワクチンは、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のために大変有効な手段であり、私も含め、国民誰もが一日も早い開発を待ち望んでいます。 現時点では、どのようなワクチンがいつ接種できるかなど、不明な点が多いものの、希望される全ての県民の皆様が円滑に接種を受けられる仕組みをしっかりと構築しておく必要があります。 そのため、11月には、県庁内にワクチンチームを設置し、医師会など関係団体との調整や連携強化を図るとともに、実施主体である市町村への説明会を開催いたしました。 なお、国は、ワクチン接種の実施体制などの詳細について、今月中旬に示すとしています。県としても、状況を注視しながら、医療従事者への接種体制や専門的相談体制の確保など、着実に準備を進めてまいります。 また、国内のワクチン開発にも期待が高まっています。先日、西村大臣と県内のワクチン製造施設であるKMバイオロジクスを視察し、開発の最前線を目の当たりにしてきました。ワクチンは、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた大きな希望であり、開発の成功には大きな期待を寄せています。 県としては、引き続き、ワクチンの供給開始に向けて、国、市町村、関係機関と強く連携して体制構築を進めるとともに、県民の皆様への正確な情報の発信に努めてまいります。  〔松野明美さん登壇〕 ◆(松野明美さん) 私の全くの予想ではございますが、どんな形であれ、東京オリンピックは開催をされるのではないかと思っております。ただ、そのためには、ちゃんと国内にワクチンが入ってきてから接種が可能にならなければ、そちらの準備もなかなか進まないでしょうから、恐らく私たちが思っている以上に早い段階でワクチンの接種ができるのではないかなと思っております。 県は県の役割がございます。基本的には、接種は、全国民無料で、そして接種をするかどうかは個人の判断に任せるということですから、やはり県民への十分な情報提供、説明は必要であると思いますし、また、県内で接種が可能になってから、どれだけの方々がすぐに接種をしたいと希望されるかのおおよその人数の把握というのは大切ではないでしょうか。 先ほど答弁にもありましたように、11月早々に新型コロナウイルスワクチンのチームを結成したという御報告がありました。私は、ニュースとか、そういう報道で、他県でワクチンチームができたとか、そういうのは最近ほとんど聞いていないもんですから、もしかしたら、ひょっとしたら、全国でもかなり早い段階でワクチンのチームを結成したのではないかなと私自身は思っておりまして、ちょっとほっとしたところでございます。 これまでもそうでしたけれども、準備期間、何でもそうですが、準備期間が短ければ短いほど、いろんなトラブルが起こってまいりました。準備は早いほうがいいです。早い段階に準備をしていただきまして、県内で接種が始まってから、安心、安全に県民の方々が接種できる体制づくり、環境づくりをどうぞよろしくお願い申し上げます。 次です。次の項目は、私が、議員活動、議員生活の中で一番日頃から気にしていて、そして日頃から大切にしている項目でございます。新型コロナウイルス感染症の影響下におきます就労系事業所への支援についてお尋ねをいたします。 現在、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、経済的なダメージが至るところに表れております。会合や旅行の自粛などによる飲食店、観光業への影響をよくお聞きしますが、障害者の就労と生きがいづくりを進めている就労系事業所にも大きな影響が出ているというニュースもよく目にいたします。 その就労系事業所では、イベントの中止や販売先への立入りが困難になったことから、販売が大きく落ち込んだり、作業の受注が減少したりと、6割の事業所が減収になっているとお聞きしました。 事業所の最低限の運営費は、福祉サービス提供の対価といたしまして行政から支払われますが、作業の受注量や金額の減少により、障害者の工賃や賃金には大きな影響が生じます。 また、事業所は、特別支援学校の実習の受入先でもありますが、その実習受入れも、非常に今年は難しくなりまして、特別支援学校の生徒の実習が非常に縮小しているようです。 実習というのは面接と一緒ですから、それがなくなるというのは、自分の就職先へのアピールというか、そういうのもなくなってくるような感じなんですね。だから、非常にやっぱり困った、特に特別支援学校の高等部の3年生が、非常に困っている生徒たちが本当に非常に多いです。本当に深刻です。 生徒の3割が実習ができないという話もお聞きしますが、将来の就職先とのマッチングの場でもあります実習の機会が失われることは大きな問題であり、就労系事業所への影響がほかのところにも及んでいることが分かります。 そして、現在も、コロナ感染症は、収束の見通しが立っておりませんので、この先、ウイズコロナと言われる中で、就労系事業所が活動を持続していくためには、支援が大変必要だと感じます。感染症が続く中、事業が継続できるような工夫が求められているのではないでしょうか。 そこで、私は、取組の一つといたしまして、多くの人の注目を集めていますふるさと納税の制度を活用することによりまして、就労系事業所の受注を増やすことはできないかと考えました。 就労系事業所では、障害者の方々が、一生懸命真心を込めて、様々な製品を製造されておられます。工夫を凝らした製品やくまモンをデザインにあしらったものもあり、品質には定評があります。私も、事業所で陶器のお皿を買ったことがございました。でも料理が下手なんですね。朝から卵焼きを焼きまして、焼き過ぎるんですよ、真っ黒。がくんとですね、朝からです。がくんとして、でも、その事業所で購入しました陶器のお皿に盛りつけると、あれ、意外とおいしそうというふうに変わっていくんですね。だから......(笑い声)いやいや、これは本当なんですね。ですから、あ、これがやっぱり真心のこもった製品なのかなと、私自身も何回もそのように思ったことがございました。 そのような県内の就労系事業所で生産されました自慢の製品を県のふるさと納税の返礼品とすることができないかと考えました。就労系事業所の製品が返礼品として多くの人の目に触れることができれば、事業所の仕事が増えるのではないか、また、収入増につながり、安定した賃金や工賃の支払い、実習の受入れも可能となってくるのではないか、返礼品に採用されることによって、御本人たちの意欲も高まっていくのではないかと思いました。 他県には先例があるともお聞きしました。寄附と返礼品というシンプルな仕組みの中に、地域を支えるとか、そういう思いやりの気持ちを取り込むことができれば、寄附をしてくださる方も増えていくのではないでしょうか。 そこで、お尋ねをいたします。 まず、就労系事業所の製品を数多く返礼品として取り扱っている事例は、全国でどのくらいあるのでしょうか。 次に、就労系事業所の製品を県のふるさと納税の返礼品とすることは可能でしょうか。もし可能である場合ではありますが、いつ頃から実施できますでしょうか。 また、実施するとした場合、今回の取組を寄附者に伝わるようにPRすることも大変必要だと思われますが、どのように取り組まれるおつもりでしょうか。 以上、総務部長にお尋ねをいたします。 続けます。 また、厳しい状況にあります県内の就労系事業所の現状とそれに対する支援策はどのように取り組まれているのか、そして就労系事業所の製品をふるさと納税の返礼品として取り扱うことが可能であれば、事業所に積極的に返礼品にチャレンジされるよう働きかけることも大変必要と思われますが、どのように取り組まれるのでしょうか。 併せて健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) お答え申し上げます。 まず、全国の状況についてでございますけれども、就労系事業所等の製品を返礼品としている都道府県は9県ございます。そのうち、鳥取県、島根県、徳島県におきましては、多種の返礼品を取り扱っているものと承知しております。 次に、本県において返礼品とすることの可否についてであります。 ふるさと納税の返礼品として取り扱うためには、その製品が地場産品であるなど、まず国が定める基準を満たしている必要があるということでございます。 また、寄附者の視点にも立ちますと、一般的に商品として流通可能な品質を確保し、寄附者に確実に製品を届けることができる、このような事業者の体制を整備することも求めているところでございます。 県内の就労系事業所等の製品につきましても、先ほど先生から陶器のお皿の話がございましたが、こうした一般的な基準を満たすものであれば、返礼品とすることは可能であるというふうに考えております。 なお、その際には、必要に応じまして、就労系事業所等で作られた製品であることや、例えば性質的に数量が限定される可能性があること、こうしたことも、あらかじめ寄附者にお伝えするといった工夫も考えられると考えております。 次に、返礼品とする時期についてでございますけれども、本県の返礼品は、毎年度の見直しを行っております。4月に返礼品リストを更新しておりまして、このタイムスケジュールに乗るものでありましたら、来年の4月から新しい返礼品とすることは可能であるというふうに考えております。 本県のふるさと納税のPRは、寄附受付サイトへの掲載、また、パンフレットの作成などにより行っておりまして、その中で返礼品の魅力も伝えるようにしております。就労系事業所等の製品を返礼品とする場合も、こうした中でPRに取り組むことになろうと思いますけれども、例えば一つ一つの製品に込められた思いをしっかり発信していく、こうしたことなども考えられるというふうに思っております。 今何点か申し上げましたけれども、こうした点も踏まえながら、就労系事業所等の製品をふるさと納税の新しい返礼品とすることができるよう、今後検討を進めてまいりたいと考えております。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、県内の就労系事業所の現状認識と県の取組についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の影響について、県内の関係団体が会員を対象に実施したアンケートによると、5月の生産活動収入が前年と比べ60%未満となった事業所が46.1%に及んでおり、その影響は深刻なものであると考えております。 そこで、県では、本年4月から、県庁地下売店内に、就労系事業所が日替わりで販売できる専用スペースを設け、これまで21事業所に延べ75日活用いただいています。 さらに、生産活動収入が一定程度減少した就労継続支援事業所に対し、生産活動の再起に必要な経費について、50万円を上限として補助を行っています。 また、経営状況を改善するための支援として、中小企業診断士等の専門家を直接派遣する制度も設けており、これまでに69件の申請をいただいております。 議員御指摘の新たな生活様式に対応した支援としては、インターネット等を活用して、新たな販売スタイルの構築を目指す就労系事業所団体等に対する助成金を創設し、2件の支援を行うこととしております。引き続き、事業の継続、発展に向けた支援を進めてまいります。 次に、御提案いただいたふるさと納税返礼品への取組については、就労系事業所の製品の販路拡大につながるものであり、全事業所に対し、個別に周知を行うとともに、事業所職員を対象とした研修会や関係団体等を通じた働きかけを行ってまいります。 県としましては、感染症の影響下においても、就労系事業所の運営が安定し、障害者がやりがいを持って働けるよう、引き続き、事業所に寄り添った支援に取り組んでまいります。  〔松野明美さん登壇〕 ◆(松野明美さん) ただいまの答弁をお聞きしながら、ふと10年以上前の出来事を思い出してしまいました。私、事業所に初めてお伺いしたときのことでございますが、会話の中で、うちは事業所がとても小さいから、1か月働いた工賃が月6,000円ですとおっしゃいまして、私、その工賃のあまりの低さに胸がいっぱいになりまして、何も言えなかったことがございました。それでも、事業所の皆さんたちが、御本人たちが笑顔で、とても仕事が楽しいと、できれば土曜日も日曜日も働いていいと、この6,000円の工賃をためて、いつか農機具を買うのが夢ですと笑顔でおっしゃったときに、思わず涙があふれてしまいました。もう本当に、こういうことって一生、やっぱり出会いですね、忘れないなというふうに思いながら、15年目ですかね、それぐらいたっていますけれども、昨日のような出来事で、ふとちょっと思い出してしまいました。 今、ただいま答弁でお伺いしましたが、事業所の真心の籠もった製品を返礼品にできますということとともに、そういうことを個々の事業所にお伝えを、お声かけをしていきますということでございました。非常にうれしく思っております。大変ありがとうございます。本当によかったなと思っております。 こういう支援の一つ一つが、御本人たちにとっては、支えてもらっているという喜びとともに、自信にもつながります。そして、やはりこういうことが生きがいづくり、夢づくりにつながっていくのかなと思っております。そして、こういう支援の積み重なった先に、知事がよくおっしゃいます一人も取り残さないということにつながっていくのではないでしょうか。もしも返礼品が誕生した際には、しっかりと全国にPRをしていただきまして、また、引き続き、事業所にお声かけもよろしくお願いを申し上げます。 また、全国には、非常にユニークな返礼品がございます。お墓参り代行という返礼品がある自治体がございました。こういうコロナ禍の中で、なかなかふるさとに帰れないという方が、自分の代わりにお墓のお掃除とお墓参りをしていただくということの返礼品だそうでございます。大好評だそうです。私も、ふっと、役に立つ、非常におもしろいなと思いました。いかがでしょうか。こういう事業所へのアイデアの提供とか、プロデュース等もぜひ御検討していただきますと、とてもにぎやかな返礼品も今後誕生するのではないかなと思っております。何とぞよろしくお願いを申し上げます。 続けます。 令和3年4月に開校いたします特別支援学校2校についてお尋ねをいたします。 全国的に少子化で子供の数が減っておりますが、特別支援学校、中でも知的障害を対象にしました特別支援学校に通う子供は、ここ10年間で、全国でも2万9,000人増え、13万1,000人と約28%の増加となっております。 この傾向は、本県においても同様で、知的障害を対象としました特別支援学校の児童生徒は増え続けており、私が知っています特別支援学校においても、教室不足から、特別教室を普通教室として使ったり、複数の少人数学級が1つの教室を共有したりと、深刻な状況だと感じております。 近年の子供の間のSNSいじめや人間関係の不安などを考えると、特別支援学校のほうが安心できるといった保護者の声も聞いており、このような点も特別支援学校の増加の背景にあるのではないかと思います。 このような中、県教育委員会では、特別支援学校の整備を計画的に進められております。平成26年4月には、重度・重複障害の肢体不自由の児童生徒を対象としました熊本かがやきの森支援学校を、平成31年4月には、知的障害のある高等部の生徒を対象としました熊本はばたき高等支援学校をそれぞれ開校しています。 さらに、現在、鏡わかあゆ高等支援学校、かもと稲田支援学校という知的障害を対象としました新設の特別支援学校2校について、いよいよ来年4月に開校いたします。準備が進められております。 鏡わかあゆ高等支援学校は、高等部の生徒を対象に、専門学科と普通科の2つの学科を設置すると聞いております。また、かもと稲田支援学校は、以前から、私の地元でありますが、鹿本地域に特別支援学校を設置してほしいと要望もあっていたため、地元の期待も大きいと感じています。両校の開校は、知的障害のある子供たちが自立し、社会参加するための教育環境が一層充実するものと、大変うれしく思っております。 そこで、お尋ねをいたします。 このように私の期待は非常に大きいのですが、改めて、この2校の設置の目的、特色、効果について、どのようにお考えでしょうか。 教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 本県の知的障害を対象とした特別支援学校の児童生徒数は、この10年間で1,077人から1,627人へと約51%増加しており、教室不足の解消が喫緊の課題となっております。このため、県教育委員会では、平成23年度に県立特別支援学校整備計画を策定し、計画的に整備を進めており、令和3年4月に鏡わかあゆ高等支援学校とかもと稲田支援学校の2校を開校いたします。 まず、鏡わかあゆ高等支援学校は、高等部のみの学校です。普通科とともに、軽度の障害で、就労により社会的自立を目指す生徒を対象にした専門学科を、本県では初めて併設する学校となります。 専門学科では、流通、サービスなど生徒の就労が多い職種に関する5つの学科を開設することで、生徒と企業の双方のニーズに対応した職業教育を提供いたします。 また、同校にはキャリアサポーターを配置することとしており、地域の企業と連携した就労支援の拠点校としての役割を果たすことを目指しております。 さらに、専門学科に在籍し、通学が困難な地域に居住する生徒のために寄宿舎を設置するなど、より広域に対応しております。 次に、かもと稲田支援学校は、今年3月に閉校した旧山鹿市立稲田小学校の校地校舎を山鹿市から無償で譲り受け、小学部及び中学部を設置いたします。また、現在鹿本商工高校内にある菊池支援学校高等部山鹿分教室を、今回かもと稲田支援学校高等部といたします。 特別支援学校がなかった鹿本地域に設置することにより、これまで遠方に通学していた児童生徒が、身近な地域で学ぶことができるようになります。 学校の周辺には、広大な水田が広がるなど、自然豊かで、来民うちわやワイナリーなどの地域資源もあります。この恵まれた環境の中で地域の方々と連携した教育を展開することで、地域で学び、地域で生きていく子供を育成してまいります。 さらに、看護師を配置しますので、これまで1時間以上かけて別の学校へ通学している医療的ケアが必要な児童生徒についても、安心して学ぶことのできる環境が整います。 今後も、整備計画に基づき、特別支援学校の教育環境の整備を進めてまいります。  〔松野明美さん登壇〕 ◆(松野明美さん) 念願でありました県立特別支援学校が2校開校するということで、年が明けましたら、いよいよ願書受付が始まります。やはり御本人、そして保護者の方も、ちょっと枠がその分広がりますから、ちょっと安心もされているところもあるんではないでしょうか。 先ほど、ちょっと医療的ケアということを教育長の答弁から出ましたけれども、最近非常に問題になっているのが、全国的に、元気に走り回っている子供の中にも、医療的ケアが必要な児童生徒が今増加をしているということなんですね。元気に走り回っていますから、意外と見過ごしになっているという、そういうことをよく聞いております。 現在、県立特別支援学校は20校ございますが、その医療的ケアのできる看護師の配置は、そのうちの7校なんですね。私は、20校中全校、最低1人の看護師の配置というのは必要ではないかと思っております。 そんな中、京都市の教育委員会のほうは、2021年度から看護師を学校の教師として採用するという取組を始めるということでした。非常にいいなと思いました。学校の先生が医療的ケアができるんですから、保護者としては、安心して、一番近い特別支援学校に登校させることができるということで、これは非常にいい取組だなと思いまして、ぜひちょっと考えていただきたいと思っております。 県外には、非常にいい手本となる教育現場がたくさんございます。全て盗み取っていただきまして、日本一子供たちに優しい熊本づくりをどうぞよろしくお願いを申し上げます。 次です。いつか機会があれば、このことについて質問したいなと思っておりました県立図書館と市町村立図書館の連携についてお尋ねをいたします。 私は、実は、大の、意外ではございますが、読書好きでございます。いや、本当にそうなんですね。特に子供時代は、小学校で一番図書館に行っては本を借りておりました。ほとんど友達がいなかったもんですから、本が友達というような、そういうふうな感じでした。 そんな中で、ある日、ナイチンゲールという伝記の本に出会いまして、非常に心を動かされ、感動しまして、小学校の卒業作文には、私の将来の夢は、白衣の天使ナイチンゲールみたいになることですと書いて卒業したという思い出があります。そのときの将来の2番目の夢が、マラソンでオリンピックに出たいということでしたから。そうなんです。当時は、はるかにマラソンよりも本を読むことが大好きだった、そういうような子供時代でございました。 その後も、人生につまずいたとき、人生に迷ったとき、本を読んで、その本から人生のヒントを与えていただきました。あの頃、図書館は、夢がいっぱい詰まった宝箱だと、そういうふうに思いながら図書館に通った、あの頃を思い出しながらお尋ねをいたします。 今年は、新型コロナウイルス感染症が拡大いたしまして、2月末から県内全ての公立図書館が休館となりました。しかし、政府の方針で、図書館は、感染防止策を徹底した上で開館すべき施設の筆頭に挙げられ、5月から順次再開しました。このことからも、図書館の重要性を改めて感じました。 また、コロナ禍でお家で過ごす時間が増える中、その時間を少しでも有意義に過ごすため、読書は有効な手段であり、図書館の役割は大きくなっていると思います。 こうした中で、県内の公立図書館の状況ですが、熊本市などは、図書館の数や本の種類も充実しております。一方で、十分な読書環境が整っていないと思われる市町村もあります。このように、図書サービスの環境には地域差があるように思います。 そして、県立図書館といえば、江津湖のとてもよい環境の中にありますが、近年では、入館者の数や貸出しの数が伸び悩んでいると聞いております。もちろん様々な図書館サービスに取り組まれているとは思いますが、新しい生活様式の中で、県立図書館としての役割と機能について、もう一度考える時期が来ているように感じます。 そこで、提案があります。 県立図書館がある熊本市内には複数の市立図書館等があり、県立と市立の両方を利用される方も多いようです。そして、県立図書館は、市町村立図書館では購入されないような専門図書が充実しています。しかし、それらは、県立図書館に行かないと借りることはできません。これから先、そうした図書資料がもっと有効に活用され、より利用しやすくするために、県立図書館と熊本市立図書館の連携を進めてはいかがでしょうか。 また、県立図書館の利用者の約8割が熊本市在住の方で、熊本市から遠隔地にお住まいの県民にとっては、県立図書館のサービスを利用することが難しい状況です。そのような読書環境の地域の格差を少しでもなくしていくため、市町村への積極的な支援や熊本市以外にお住まいの県民に向けた図書館サービスの展開が必要ではないでしょうか。 そこで、お尋ねをいたします。 第1に、県は、熊本市との図書館連携についてどのようにお考えでしょうか。第2に、遠隔地にお住まいの方も利用しやすくなるように、熊本市以外の市町村に対する図書サービスの支援についてどのようにお考えか、教育長にお尋ねをいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 県立図書館は、市町村図書館と機能を分担しつつ、蔵書の充実、貴重史料の収集、保存、調査相談サービスなどに取り組んでおります。また、市町村図書館へ蔵書を貸し出すなど、熊本県における図書館の図書館として、県内全域における図書館活動を推進しております。 まず、1点目の熊本市との図書館連携についてお答えをいたします。 県立図書館では、その利用者の8割が熊本市在住であることから、県立図書館の図書を最寄りの熊本市立図書館で借りて返せることになれば、利用者にとって、選択肢が広がり、利便性が格段に向上します。今後、熊本市立図書館の図書も県立図書館で借りて返せることになれば、県、市双方にとって、利用者と貸出冊数の増加が期待されます。 このため、県教育委員会では、さきの9月補正予算で措置しました新しい生活様式に対応した県市等連携事業に取り組んでおります。この取組により、県民がスマートフォンやパソコンを使って県立図書館の図書を予約していただくと、最寄りの熊本市立図書館で受け取り、返却することが可能となります。現在システムの改修を進めており、来年1月から運用を開始する予定であります。 次に、2点目の熊本市以外の市町村に対する図書サービスの支援についてお答えをします。 現在、熊本市以外の44市町村には、図書館や公民館図書室など80の施設がございます。これらの施設を拠点に、今回改修中のシステムを活用して、遠隔地でも県立図書館の図書の貸出し、返却サービスが受けられる仕組みづくりに取り組んでまいります。 今後、市町村への説明を行っていくとともに、熊本市との連携の成果を踏まえながら、来年度以降、希望する図書館から順次事業を開始していきたいと考えております。 これからも、熊本市をはじめとする市町村図書館と連携しながら、県民のニーズに対応できるよう、図書サービスの充実に努めてまいります。  〔松野明美さん登壇〕 ◆(松野明美さん) 教育長、私は、図書館を通しての県、市連携、非常にうれしく思います。といいますのは、熊本市が政令市に移行しました平成24年4月時点、私、熊本市議会議員を務めさせていただいておりましたから、政令市に移行したときのメリットというのは、大体のところ理解をしていたつもりではあったんですが、私たちの理解とはちょっと、予想していた市民の反応がまるでちょっと違いまして、非常に分かりにくいと、こちらが県の管轄、こっちが市の管轄と言われて、一緒でいいんじゃないかとか、面倒だ、そんなお声をたくさん聞いてまいりました。ですから、県と市の連携というのは、どんどんとやっていただきたいと思います。本県がやはり大きく大きく輝いていくため、大きく成長していくためには、やはり県と市との連携というのは必要不可欠だと私自身は本当に思っております。 ですから、図書館のサービス、来年の1月からいよいよ住民サービスが始まるということで、非常に県と市が連携をしますと、かなり便利になるんですね。私も、これ、便利になるなと思いまして、最近ほとんど本を読む時間がないんですね、いや、時間がないと言ったら、これは時間のせいになりますから、自分のせいで、何かなかなか本を――これ、全て自分のせいなんですね。忙しくはないんですよ、時間がないわけではないんですけれども、なかなか本を読まずに、何か携帯触ったりとかするようになってしまいました。ですから、住民サービスが来年の1月からよくなっていくということで、ちょっとまた本を読み始めたいなと思っております。そして、ちょっと図書館の県と市との連携のタッグを組んでいただきまして、1足す1が3でも4でもなるような結果を出していただきまして、どんどんとその県、市連携が広がっていきますことを大いに期待をいたします。よろしくお願いを申し上げます。 次です。 現在は、コロナウイルス感染症が非常に拡大をいたしまして、本県も、12月に入ってからでしょうかね、警戒レベルが3から4に上がりまして、私たち、本当に、みんなそうですけれども、不安な毎日を過ごしております。 ただ、やはりもうちょっと、もう少し頑張ってみて、少しずつ落ち着いたら、こんな楽しみはいかがでしょうか。県外からの旅行者向けプレミアム商品券、仮称ではございますが、熊本復興ベリー通貨を活用しました経済復興についてお尋ねをいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして後退しました景気の回復を図るため、GoToキャンペーンのほか、様々な形で行われております。本県でも、くまもっと泊まろうキャンペーンをはじめ、32のキャンペーンが地域別に展開をされております。 このような県民を対象としました地域振興券は、景気の底上げの即効性はありますが、やはり県外からの旅行者がその地域に来てくれなければ、持続的な回復にはつながっていかないと思っております。 そこで、県外からの旅行者向けのプレミアム商品券を導入してはどうかと考えました。 例を挙げますと、長崎県が全国で初めて実施しました旅行者向けのプレミアム商品券「しまとく通貨」は、2013年から2016年まで3年間販売されたそうです。長崎県内の離島のみで、宿泊代やお土産、食事代に使用できる20%のプレミアムがついた共通商品券です。地域振興券とは違い、外貨の獲得が目的のため、島の外から観光などで訪れた人だけが購入できるものでした。この取組は、離島に大きな経済効果をもたらしたようで、その後、電子通貨として展開されております。 一方、本県は、熊本復興プロジェクトといたしまして『ONE PIECE』の銅像9体の設置を進めており、これを生かした観光振興に力を入れています。 そこで、麦わらの一味の銅像を見に訪れた観光客に『ONE PIECE』の世界観をもっと楽しんでもらうため、『ONE PIECE』の通貨、これは『ONE PIECE』の大ファンでなければちょっと知らない方も多いと思うんですが、『ONE PIECE』の通貨「ベリー」をイメージしましたプレミアム商品券の取組を展開してみてはどうでしょうか。非常におもしろいと思います。 ベリーは、熱心なファンなら誰もが知っている『ONE PIECE』の世界で流通している通貨単位です。レートは日本円と同じです。1ベリーが1円と非常に分かりやすくなっています。紙幣には、肖像画が描かれており、千ベリー札にはウサグチヒデヨ、五千ベリー札にはクマグチイチロー、一万ベリー札にはガイコツユキチという人物が描かれております。 GoToキャンペーン終了後は、こういった独自の取組が必要になるかと思っております。まずは、道路開通で復興への環境が回復しつつある阿蘇地域限定でやってみて、地域を広げていくというのはどうでしょうか。熊本に来てくれる観光客に熊本復興ベリー通貨で楽しんでいただき、復興に力を貸してくれることを期待したいと思います。 以上のとおり、私は、県外からの観光客を呼び込むという方法により、後退しました景気を回復していく起爆剤的な取組が必要と思っておりますが、本県が、熊本地震、コロナ感染症、豪雨災害という3つの苦難を乗り越え、元気な熊本を取り戻すため、県としてはどのように経済復興を図っていかれるのでしょうか。 私がただいま提案をいたしました県外からの旅行者向けプレミアム商品券、熊本復興ベリー通貨の導入の可能性も含めて、知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、県外からの誘客についてお答えします。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県内を訪れる観光客は、本年3月以降大幅に減少し、県内の観光産業に大きな影響を与えています。 そのため、県では、まず、新型コロナウイルスの影響下における新たな観光スタイルの構築のため、宿泊事業者が取り組む感染防止対策等を支援しました。また、宿泊需要回復のため、大分県と連携した宿泊応援キャンペーンを実施するなど、適時適切な対策を講じてまいりました。現在は、国のGoToトラベルや阿蘇地域へのアクセスルートの回復も後押しとなり、県外からの観光客数も徐々に戻りつつあります。 その一方で、観光事業者からは、GoToトラべル事業後の反動減や閑散期対策を求める声も寄せられています。このため、国において検討されている7月豪雨の被災地向け重点キャンペーンとの連携など、切れ目のない観光需要の喚起策で経済復興を図ってまいります。 また、議員御提案の漫画やアニメなどのコンテンツの活用は、極めて有効と考えています。松野先生に大変お世話になった『ONE PIECE』と連携したプレミアム商品券の取組については、私自身も大変ユニークなアイデアだと思います。ただ、実現にはコンテンツ利用の方法や費用面など様々な課題がありますので、実現の可能性を含め、研究してまいります。 来年3月には、九州新幹線全線開業10周年記念を迎えます。4月には、熊本城の特別公開第3弾として天守閣の一般公開が始まるなど、県外からの観光客を誘客する絶好の機会が続きます。 県としては、新型コロナウイルスの感染状況や豪雨被災地の復興状況などを踏まえながら、県経済を持続的に回復させるため、フェーズに応じた観光施策に全力で取り組んでまいります。  〔松野明美さん登壇〕 ◆(松野明美さん) やっぱりこういう状況で、やりますというのは私も期待はしておりませんでした。期待はしていなかったんです。ただ、知事の眼鏡の奥の瞳がきらっと光ったんですね。きらっと光りました。ですから、ひょっとしたら、2~3年後あたりは実現をするんじゃないかなという、ちょっと確信を持ちました。そのときは、私が提案をしたということはぜひ覚えておいていただきたいなと思っております。よろしくお願いします。 やはり観光客が熊本に来てもらうためというのは、やっぱり仕掛けというのが必要なんですね。わざわざ東京から何で熊本に行かなくちゃいけないかと。時間もかかるし、交通費もかかります。でも、熊本にしかない、熊本でしか食べられないとか、そういうふうな魅力があったら、口コミが一番やっぱり大きいんですね、観光客って。口コミでどんどんと広がっていくんですよ。ですから、私は、そういうふうな挑戦的な仕掛けというのにどんどん挑戦していただければうれしいなと思います。 この提案をしたのは、漫画の世界を本当に現実の世界で味わったらどんなにいいだろうという夢のようなアイデアだったんですけれども、研究をされるとおっしゃいましたから、ぜひこのことを忘れていただくことなく研究を続けていただければと思っております。よろしくお願いいたします。 最後の質問です。 やっぱりマラソンの質問、したいと思いました。ただ、夏のマラソンを提案してもしようがないですし、こういう状況ですから。どうしようかなと思いまして、一回諦めました。でも、やっぱりマラソンのことをいろいろ考えて、やっとこの質問にたどり着きました。聞いてください。 ランニングを生かしました、くまもと、旅ラン、一人ランの推進についてお尋ねをいたします。 気楽に参加できますスポーツイベントといたしまして、市民マラソン大会が人気を集めております。しかし、新型コロナの影響で、全国のマラソン大会が中止となりました。この市民マラソン大会の消滅は、ランナーだけでなく、多くの観光客が期待できる開催地域の観光業界にも大きな痛手となっております。 ランニング人口は、国内だけでも推計964万人とも言われております。最近は、オンラインランニングイベントなど新しい取組もあり、ランニングの愛好家は、大会以外に走る楽しみを模索しているところです。 ランニングを習慣にしている人は、観光先でも出張先でも、宿泊先のフロントで、チェックインとともに、すみません、この周りに、この辺に走るところはありますかと必ず聞きます。すると、地図を出して丁寧に答えてくれます。あらかじめ周辺のランニングマップを準備してあるところも多いようです。 本県は、熊本復興プロジェクトとしまして『ONE PIECE』の銅像の整備が進められております。そこで、私は、ランニングで『ONE PIECE』像を周遊する仕組みを実施してはどうかと考えました。それは、一人マラソンです。今複数で楽しむキャンプでも、密を避け、一人でキャンプを楽しむ一人キャンプがブームとなっております。 例えば、県庁ルフィ像から出発をいたしまして、熊本動植物園のチョッパーまで大体2.3キロか2.4キロあります。これは初心者コースですね。ルフィから益城運動公園のサンジまで約10キロコースなど、銅像から銅像へ、自分の力に応じたコースを選べるようにしてはどうでしょうか。 私のお勧めマラソンコースは、県庁のルフィをスタートし、大津中央公園のゾロに寄り、阿蘇駅のウソップをゴールとする、今年全線復活を果たしました豊肥本線沿いを走る約43キロのコースです。 もう一つコースがあります。これも県庁スタートです。県庁のルフィをスタートし、西原村のナミに寄り、高森駅のフランキーをゴールとする、南阿蘇を堪能できる44キロの最長コースです。この最長コースを走ったら、絶対走った人は一生忘れません。 そんな感じで、本当に走ることというのは、その地域が記憶に残るんですね。私も、出張先で、走った場所は覚えていますけれども、走らなかった場所は全く覚えてないです。それぐらい印象がございます。 また、来られた方に快適に走ってもらうためのおもてなしをいたしまして、例えば、ランニングコースのエリアに更衣室やシャワーなどを完備したランニングステーションを設置して、ランナーをサポートすることも必要と考えます。このランナーズステーション、私、10年以上前の熊本の市議会議員のときからランナーズステーションの設置というのはずっと言ってきました。言ってきたやつなんで、ぜひお願いしますね。ランナーズステーションの整備は、観光客だけでなく、地域の方の健康づくりにも役立つのではないかと思っております。 このように、個人の都合に合わせて熊本でランニングを楽しんでもらう一人マラソン、長期的に何度でも足を運んでもらうような仕掛けをつくることが、熊本に多くのマラソンファンを引き寄せ、熊本がランナーの聖地となっていくものだと考えております。 そこで、マラソンランナーなどを熊本に呼び込むためには、このような様々な仕掛けや取組が必要になると考えますが、今後、県はどのようにスポーツツーリズムに取り組み、交流人口の拡大と経済効果の最大化を図っていかれるのでしょうか。 観光戦略部長にお尋ねをいたします。  〔観光戦略部長寺野愼吾君登壇〕 ◎観光戦略部長(寺野愼吾君) 昨今の健康志向の高まりを受けて、マラソンやサイクリングの愛好家が増加していますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、マラソン大会などのイベントの開催が難しくなっております。 このような中、各地で個人の都合に合わせて参加できるオンラインマラソンが実施されております。議員御提案の一人マラソンも、新しい生活様式に対応した誘客策として、大変有効なものの一つであると思っております。 県では、今年度からスポーツツーリズムを本格的に展開することとしておりまして、その中で、ニューノーマルを意識した、個人や少人数で楽しめる商品の開発や受入れ環境の整備を行ってまいります。 例えば、阿蘇の大自然の中でランニングやサイクリングを楽しんだ後に、温泉で汗を流し、高たんぱく質でヘルシーなあか牛や地元の新鮮な野菜を味わう旅行商品のモデル化を進めます。 また、多彩な泉質を有する本県の温泉の特徴とヨガやトレッキングを組み合わせた心と体の両面が癒やされる旅行商品の造成も行います。 これらソフト面の展開に加えまして、更衣室やシャワー施設を備えたランニングステーションの設置など、手軽に快適に利用が可能となるような受入れ環境の整備も進めてまいります。 そのため、県では、10月に、新型コロナウイルス感染症対応総合交付金事業の中に、市町村が道の駅や観光施設にランニングステーションなどを設置する取組を支援するメニューを盛り込みました。 今後とも、市町村と連携しながら、コース設定なども含め、商品開発や受入れ環境の整備に取り組んでまいります。 こうした取組を通して、新たな熊本の魅力を創造し、交流人口の拡大と経済効果の最大化を図ってまいります。  〔松野明美さん登壇〕 ◆(松野明美さん) ただいまランナーズステーションを設置するとおっしゃいましたね。私、本当に県議会ではあんまり言ってはいないんですが、よかったなと本当に思いました。 私がちょうど思い出したのが、陸上の現役時代、本当は、あの当時、陸上王国熊本と言われた時代がございました。県民総合運動公園がホームグラウンドだったものですから、そこで練習をしていますと、全国から陸上の実業団が、男女問わず、合宿にわあっと集まってまいりました。その土地に人気があるチーム、強いチームが練習をしていますと、やはり一目練習を見てみたいという意欲で選手たちが集まってまいります。スポーツはそういう傾向があります。ですから、ランナーズステーションの周りに、だんだんだんだん人が多くなってきます。そして、それを見た方たちがスポーツをしたり、ランニングをしたりするこの拠点に、私はランナーズステーションというのはなるのかなと本当に思って、非常にうれしく思いました。 日本は、海外に比べますと非常に治安がいいです。ですから、ランニング向きの国とよく言われております。非常にそういうランナーズステーションを通しまして、たくさんのランニングをする方、スポーツする方が増えていきまして、いずれは、私の時代の陸上王国熊本と言われた時代をぜひ復活させていただきまして、そして陸上王国熊本から、いつの日か、健康王国熊本と、そういうことにつながるような、そういうような取組もぜひやっていただければと思っております。大いに期待します。よろしくお願いを申し上げます。 数年ぶりに登壇をさせていただきまして、2年半ぶりです。あんまり緊張しませんでしたが、登壇させていただきまして、改めて責任の重さというものをひしひしと、こちらの登壇した場所で感じました。 知事をはじめ執行部の皆様方におかれましては、県民が主役でございます。その県民の笑顔のために、縁の下の力持ち的存在といたしまして、しっかりと引き続き御支援をいただきますようよろしくお願いを申し上げます。 日増しに寒くなってまいりました。どうぞ皆様方、風邪など引かれませんよう御自愛をいただきまして、よいお年をお迎えいただきますことを祈念いたしまして、私の質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(池田和貴君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時8分休憩    ――――――○――――――  午後1時10分開議 ○副議長(渕上陽一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 緒方勇二君。  〔緒方勇二君登壇〕(拍手) ◆(緒方勇二君) 皆さん、こんにちは。自由民主党・球磨郡選出の緒方勇二でございます。 このたびの未曽有の災害発生後に、私たち夫婦に初孫が誕生いたしまして、本当にありがたいことでありました。人吉の産婦人科はどこも浸水被害を受けておりまして、かかりつけの産婦人科より、医療センター、これも浸水被害を受けましたけれども、ここで出産をしてくださいということでありました。災害対応しておりましたけれども、気がかりで、無事に女の子が誕生してくれました。本当にありがたいことです。 やはり赤ちゃんが生まれますと、力が湧いてきますね。そして、長男が本当に被災された方々のお心を思い、希望の花が咲きますように、復旧、復興の上にたくさんの花が咲くようにということで、千咲と命名してくれました。私も負けじと、復旧、復興の上に希望の花を咲かせたいと思いまして、質問をさせていただきます。しばらくの間、お付き合いをお願い申し上げます。 流域治水の考え方及び川を生かした地域づくりについて質問をさせていただきます。 7月4日、発災当日、夜半2時30分過ぎに、ただならぬ屋根をたたく雨音に飛び起き、テレビの気象情報を見ながら、大変なことが起きると、夜明けを待ちました。 5時前には出かけ、ふだんから心配な箇所を見て回りました。既に上球磨の球磨川の各所で樋門操作のさなかであり、内水氾濫を各所で起こしており、県管理柳橋川、幸野溝、百太郎溝、県管理免田川、そして球磨川の錦町区間の左岸堤防を下流へと車を走らせ、錦町浜川地区では道路が冠水し、点滅信号だけが見えている状態でありました。 畜産飼料のロールが水に浮いている状況であり、球磨川本川の一般県道自転車道を併設する堤防を越水して、自転車道の天端を削りながら水田に流れ込む状況にあり、川辺川との合流点に近づけず、下流の川面は白くかすんで見えず、濁流を眺めつつ、直感的に毎秒8,000トン流れているのではないか、これに仮に市房ダムが異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流に移行するようなことになれば、球磨中央高校は、くま鉄の球磨川鉄橋は、人吉は、球磨村は大丈夫かと、避難できているのだろうかと。災害となれば、被害はダムの責任にされる、雨脚も弱まってきた、耐えてくれと祈りつつ、川辺川にダムがあれば相互に連携して水位が低減できたろうにと思いが込み上げて、泣けて仕方ありませんでした。 振興局より、市房ダム、8時30分より異常洪水時防災操作を行うとの連絡を受けておりましたが、結果は、市房ダムは、雨脚の予測を見極めて、薄氷を踏むような思いで操作を行い、踏ん張ってくれたことに感謝を申し上げたいと思います。 水の勢いに恐れをなし、身震いしながら自宅に帰ると、我が家の周りでも、農業用の排水路があふれ、田面を越えて白波が立ち、国道に流れ込み、河川のようでありました。集水域でこのありさまですから、これから被害は拡大すると思い、テレビを見ますと、旧坂本村上空の映像に、私が県議になる前に建てた家の屋根だけが少し映りました。 荒瀬ダムが撤去される前に建てたのですが、建主いわく、駅中心部も度々水害に遭ってきたが、宅地かさ上げもされて、護岸整備もされて安全でしょうから、老後は、公共施設や病院や買物に駅に近いところにと宅地を求め、油谷川沿いの崖地から移転したいとの申出により、高齢でもあり、バリアフリーの平屋で建築した家屋でした。 避難していてくれと祈っておりましたが、後日、球磨郡の娘さん夫婦が、高速坂本パーキングから徒歩で現地に確認に行かれたら、家の中で水死されておられたそうです。悲しみに耐えながらも、家族が言われるに、流されずに家の中で亡くなったことがせめてもの救いですとおっしゃいました。垂直避難できる家を設計してあげればよかったと悔やまれてなりません。 私は、治水安全度を高める努力を怠れば、近年の気候変動に起因する災害はあまりにも規模が大きく対応できないとの思いから、県議になりましてからも、何度も、球磨川の治水対策川辺川ダム問題を質問させていただいて、警鐘を鳴らしてまいりました、生命、身体、財産を守るために。 そして、この災害を受けて、改めて、先人が営々と築いてきた道路や橋梁等の社会資本は、今に生きる我々が恩恵を受け、さらに将来世代の受益のために、長寿命化を図り、耐震性を高め、強靱化を施しても、治水安全度を高めておかなければ、甚大な被害が生じることを再認識させられたと思うのであります。 他方で、12年前、知事が、過去、現在、未来の民意を推しはかり、ダムによる治水を白紙撤回されて、ダムによらない治水を極限まで追求する判断をされました。それは、球磨川は県民の宝であり、清流を守り、川の息吹を感じつつ、その恩恵に浴して暮らす人々のことを思ってのことと理解もしてまいりました。そのことは、災害を受けても球磨川を恨む人がいないことからも、再び川の近くに住みたいとの希望からもうかがい知れるところであります。 今回の豪雨災害を受けて、現在の民意はどうなのかと丁寧に意見を聴取され、近年の気候変動に伴う大災害の時代に、環境に配慮した新たな流水型のダムを容認され、ダムによらない治水でも検討されてきました対策や減災手法も取り入れた流域治水を決断され、球磨川の恵みを生かした創造的復興に踏み出す決断を、19日の全員協議会で示されたことに深く感謝を申し上げます。 さて、今後は、もともとのダム計画に翻弄され、今次災害でも、ダムを含む治水対策への賛否は割れ、賛成、反対の人々、水没予定地五木村やダム建設予定地の相良村への配慮、漁協との交渉など、今後幾多の困難があると思いますが、私は、川を生かしたまちづくり整備計画を示すことが、流域治水への理解促進につながると考えます。 過去の質問でも申し上げましたが、これまでの治水行政は、ややもすると、川から人を遠ざけてスムーズに海域へ流すことを旨としてきましたが、今後は、川を地域資源、観光資源と考え、行政、農林水産関係団体、観光協会、ラフティング協会と連携を図り、人々の生活と文化を育み、自然豊かな人吉、球磨ににぎわいの場をつくることが必要であり、そのことで賛否が割れた人々の融和を図ることにもつながるものと考えますが、知事の流域治水の具体的なイメージと川を生かした地域づくりに対する考えをお尋ねいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、流域治水の考え方についてお答えします。 私は、今回、球磨川流域の治水の方向性を整理するに当たって、流域全ての市町村を対象に、30回にわたり、住民、事業者、関係団体、市町村長や市町村議会議長の皆様などから直接治水の方向性や復興に向けた課題と思いを伺ってまいりました。 その中で、一日も早く安全な地域をつくり上げてほしい、支川の対策も行ってほしい、早急に河床を掘削してほしい、山林を管理してほしいなど、様々な御意見をいただきました。 また、学識経験者の方々から、流域治水における田んぼダムの有効性や今後の地球温暖化の影響による不確実性に備えた治水計画の必要性などの御意見をいただきました。 私は、これらの御意見を踏まえて、先日、流域全体の総合力による緑の流域治水という新たな治水の方向性をお示しいたしました。 これは、河川の整備だけでなく、遊水地の活用、森林整備、避難体制の強化を進め、さらに自然環境との共生を図りながら、国、県、流域市町村、企業、住民が協働し、流域全体の総合力で安全、安心を実現していくものです。そして、その中に、住民の命を守り、さらには地域の宝である清流をも守る新たな流水型ダムを取り入れるものです。 今後、命と環境を両立させる新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水を具体化していくことで、日本の災害復興をリードする全国モデル、いわば球磨川モデルとなる治水対策を実現してまいります。 次に、川を生かした地域づくりについてお答えします。 私が今回流域住民の方々の御意見を伺ってきた中で、球磨川は悪くない、球磨川の清流を守ってほしいなど、球磨川に対する深い愛情を示す御意見がどの会場でも寄せられました。 また、被災された方々は、時間の経過とともに、球磨川のほとりの住み慣れた元の場所に戻りたいという声が増えてきたと伺っています。 私は、こうした声に応えるためには、球磨川、川辺川の清流と環境、そして恵みを守り抜くこと、そしてこれらを次の世代に継承して最大限に活用することで、地域の魅力向上を図り、創造的復興につなげていくことが必要と考えております。 そうした地域の魅力向上に向けた取組の一つとして、議員御提案の川を生かした地域づくりは、大変有効なものと考えています。 このため、今回策定した復旧・復興プランにおいても、水辺で触れ合い、また、休憩できる水辺空間の創造を目指した沢遊び、水辺遊びができる川づくり、球磨川と調和する景観と歴史的町並みの整備などを位置づけています。 現在、流域市町村においても、復旧、復興の取組が進められていますので、流域市町村とも連携を図りながら、川を生かした地域づくりの取組を進めてまいります。 また、赤羽国土交通大臣からは、さきの会見で、川辺川の新たな流水型ダムについて、最新の技術を極限まで取り入れながら、安全と環境の両立をできる限り追求するとの心強い発言をいただいています。 今後、国、県及び流域市町村が連携し、命と環境を両立させる新たな流水型ダムを含めた緑の流域治水を進める中で、川を生かした地域づくりについて、積極的に取り組んでまいります。  〔緒方勇二君登壇〕 ◆(緒方勇二君) 日本の災害復興をリードする新たな全国モデル、いわば球磨川モデルとなる治水対策を実現してまいるとのお答えでございました。 これを成就するためには、ダムによらない治水も、ダムによる治水も民意であり、これを溶け合わせる川を生かした地域づくりの取組を進めていくことが非常に重要だと私は考えております。 河川敷地内を生かした場の提供や川の駅の整備、環境と景観に配慮した河川改修、清流球磨川、14年連続水質日本一の清流川辺川を守り、川の恩恵に浴して、川の楽しみを学び、川の恐ろしさも学び、防災意識の醸成にもつなげていく。流域の市町村も川を生かした地域づくりには異論はないのでありますから、流域治水の中心に据えていただきたいと思います。そのことが、亡くなられた御霊をお慰めすることにもつながると考えます。そのことを申し上げ、次の質問に入ります。 流域の特性を踏まえた避難の呼びかけ方法について。 私は、球磨村の介護施設千寿園の理事の方に連絡がようやく取れて、施設の状況をお聞きして、さらに球磨村とも協議の上で、千寿園と渡小学校に多くの自己完結の災害ボランティアにおいでいただき、建設機械も投入し、宿営地は、相良村に御理解をいただき設置して、活動を展開いたしました。 雨が続く中、隣の球磨川支川の小川の水位を警戒しながら、泥水で水を含んだ大量の家財が散乱している中を分別しながら、人海作業で搬出をさせていただきました。泥にまみれ、発電機、洗浄機などの音が施設内に響く中、吹き抜けの窓から日差しが差し込み、音のない世界となりました。これは人災じゃないかとの思いが込み上げてまいりました。 いつも千寿園便りを送っていただき、写真の穏やかな入所者の方々のお顔が浮かび、さぞかし無念であったろう、救い得なかった14名の方々を思うとき、胸が張り裂けそうでありました。施設の立地、構造の在り方、施設の対応や施設職員、避難の手助けをされた方々をいささかも責めるつもりはありません。逆に、よくぞ57名の命を救い上げられたと感謝を申し上げるところです。 球磨川の支川小川の水位低減のための導流堤整備や内水被害防止のための排水機場整備、支川の堤防強化等も、今次の未曽有の豪雨災害では効果を発揮できないほどの洪水高水であったこと、一気に水位が上昇したことで、最悪の介護施設での受難が起きてしまったのだと理解しております。 しかし、現場に立てば、小学校と介護施設の間の坂道を上り、避難ができなかったのかと考えてしまうのです。夜間で土砂降りの中での屋外避難は最悪の場合であり、リスクが高いとちゅうちょして、屋内にとどまることを選択して、折り返しの階段を垂直避難させる決断は、差し迫った状況では賢明な判断であったでしょう。浸水想定区域にある介護施設の屋外避難計画は大変難しく、避難場所は運動公園桜ドームに定めてありますが、どの時点で決断するかは大変重い決断であり、ましてや、コロナ禍での避難であり、避難場所に至る経路も浸水し、一気に水位が上がった今回は、最悪が重なったとしか言いようがありません。 千寿園ばかりではありません。流域全体として、まさか堤防を越える、破れるとは思っていなかった堤防の安全神話への油断、急激に水位上昇が予想される中での避難を促す連絡手段は機能したのか、避難要支援者リストは機能したのか、顔が見える付き合いしているけれども、同居の把握など地に足のついた避難要支援者計画なのか、早めの避難に一定の時間の確保が必要であり、避難勧告、指示は適切だったのかといろいろと疑問が湧いてきますが、その中でも、特に避難の呼びかけ方法について、高齢化率の高い流域の特性を踏まえた避難を促す空襲警報並みのサイレンを鳴らすことなどができないものなのでしょうか。例えば、昨年の台風19号で氾濫した千曲川では、消防団の半鐘、早鐘でようやく避難されたそうであります。 そこで、流域の特性を踏まえた実のある避難の呼びかけ方法について、知事公室長にお尋ねいたします。  〔知事公室長白石伸一君登壇〕 ◎知事公室長(白石伸一君) 流域の特性を踏まえた避難の呼びかけ方法についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、球磨川流域では、高齢化や過疎化が進んでおり、住民に避難情報をできるだけ早く、確実に伝達するためには、流域の特性に応じた取組が必要です。 このため、県では、高齢者をはじめ一人一人の住民へ確実に避難情報を届けることができるよう、市町村と連携し、平時から避難情報の発令訓練を行うとともに、防災情報メール等を活用した避難勧告等の情報発信や戸別受信機の設置を含めた防災行政無線の整備への支援などを行っております。 また、市町村においては、気象情報や避難情報等に基づき、高齢者世帯に対する予防的避難の実施や自主防災組織による避難の呼びかけ、消防団や区長による地域住民に対する戸別訪問などにも取り組んでいます。 今回の豪雨を踏まえ、これまでのこのような取組の検証や避難の実効性を高める要支援者個別計画の作成、見直しを支援するとともに、議員御提案のサイレン放送も含め、地域の実情に応じたより効果的な避難の呼びかけ方法について、市町村と連携しながら検討してまいります。 引き続き、あらゆる手段による避難情報の発信力強化に取り組み、住民の確実な避難行動につなげてまいります。  〔緒方勇二君登壇〕 ◆(緒方勇二君) 本日は、球磨村の淋地区の皆さんも傍聴においでであります。ダムを前提とした宅地かさ上げ事業をされた集落でありますが、しばしば県道が冠水し、孤立集落になるところであります。今回は4メートルほど浸水いたしました。 被災地に入りましたら、言われるのに、水位が一気に上昇した、防災無線も戸別受信機も役に立たずであったこと、ダム放流のサイレンもここには聞こえない、瀬戸石ダム下流はサイレンは鳴るけれども、ここら辺にはサイレンがないからとのことでありました。 繰り返し流す命を守る行動の呼びかけも、逆に危機感が薄れるとの調べもあります。やはり、流域全体に空白地帯がないようなサイレンが鳴り響くことも避難の決断を促すことになると思いますので、検討をお願い申し上げます。 次の質問に参ります。 既存ダムの機能強化について。 市房ダムが今次の災害で洪水調節容量ぎりぎりまで頑張ってくれたことは、先ほど申し上げました。あわせて、これらの既存ダムが、砂防の役割、大量の土砂と流木を捕捉してくれたこと、この機能がなければ、被害はさらに上流域に及び、広域化していたことでしょう。 私の事務所近くの県管理免田川は、昔から度々左岸側で水害を起こしましたが、農業用ですが、防災機能を併せ持つ清願寺ダムが建設されており、7月の豪雨では、28万立米の土砂と4,000立米の流木を捕捉して、防災機能を大いに発揮してくれました。清願寺ダムがなければ、免田川が氾濫し、私の事務所近辺は、さいの河原と化していたことでしょう。 市房ダムでは、通常は利水に使っている水をあらかじめ放流する予備放流や、さらに利水の一部を治水として使う事前放流を行うようになっていますが、球磨村の集落では、ダム機能を最大限活用するために、幸野溝、百太郎溝の農業の水のこともあるでしょうが、市房ダムを空っぽにできなかったのか、私たちは生命、財産を失ったと言われました。このような洪水がまたいつ起きるかも分からない中では、いろいろな対策を緊急に行う必要があります。 そこで、降雨予測を見極め、防災機能を発揮するために、短時間で予備放流や事前放流をするための機能強化をどのようにするのか、また、川で漁をされる方からは、市房ダムの機能強化が濁度の改善にもつながるようなものであってほしいとの意見も伺っておりますので、その観点も含め、市房ダムについては土木部長に、清願寺ダムについては農林水産部長にお尋ねいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) 市房ダムの機能強化についてお答えをいたします。 市房ダムでは、洪水調節の必要があると想定される場合において、平常時、利水のために貯留している水を、あらかじめその一部を放流し、治水に活用する容量を増やす予備放流の試行に平成30年度から取り組んでおります。 また、本年5月末には、市房ダムを含む球磨川水系の6つの利水ダムにおいて、大規模な洪水の発生が予測される場合に、さらに利水容量分の水を放流し、治水容量を確保する事前放流の治水協定を締結いたしました。 7月豪雨においては、こうした取組の成果として、下流の多良木観測所付近では約90センチメートルの水位低減効果があったと推定しており、球磨川上流域に流れ込む支川周辺の内水被害軽減等に貢献したものと考えております。 仮に、7月豪雨において予備放流を実施しなかった場合、異常洪水時防災操作に移行していたことを令和2年7月球磨川豪雨検証委員会において報告しており、予備放流や事前放流の重要性を改めて認識したところです。 このため、市房ダムをより有効に活用できるよう、利水者である土地改良区や企業局、球磨川を管理している国などの関係機関としっかり協議し、ダムの事前放流を確実に実施するための新たな放流管設置や濁度の改善に向けたダム機能の強化などについて検討を進めてまいります。 なお、7月豪雨では、市房ダムで約2万立方メートルの流木を捕捉しており、下流の浸水被害の発生を軽減、防止したものと考えております。現在、次の出水期に支障とならないよう、撤去作業を進めているところです。 また、撤去した流木については、処分コストの縮減や復旧・復興プランの基本的な考え方として提唱されたグリーンニューディールの理念を踏まえ、一部をまきやチップ材料などとして再利用できるよう加工した上で、希望される方に配付する方向で準備を進めております。 引き続き、ダム機能を最大限発揮できるよう、適切なダム管理に努めてまいります。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 私からは、清願寺ダムの機能強化についてお答えいたします。 清願寺ダムは、球磨川の支流である免田川上流のあさぎり町皆越にあり、かんがい機能だけでなく、防災機能を併せ持つ農業用のダムです。平時は、農業用水として最大で103万トンを貯水し、豪雨の際には、これに加えて防災容量193万トンを貯留することで、洪水を防止する仕組みとなっております。下流域の水田309ヘクタールへ農業用水を供給し、520ヘクタールを浸水から守っております。 本年5月末には、利水者である上村土地改良区の意見を聴いた上で、球磨川を管理している国とダムを管理している町、ダムを所有している県との間で治水協定を締結しております。 この協定では、気象庁の降雨予測が3日前から発表されることを踏まえ、かんがい容量のうち、3日間で放流可能な71万トンの範囲内で事前放流を行い、治水に利用することとしております。 一方、利水者である土地改良区は、事前放流を実施したものの、降雨予測に反して雨が降らなかった場合には、貯水量が回復しないため、水不足になることを心配されておられます。そのため、現在3日前から行う必要がある事前放流を予想精度がより高くなる降雨の直前に開始しても、十分な治水容量を確保できるよう、放流設備の改修について検討していく必要があると考えております。 さらに、現在は、放流に使用する取水ゲートの開閉は直接ダムまで行って操作する必要があるため、迅速な事前放流に対応するためには、操作性の向上も必要です。 県といたしましては、清願寺ダムの構造も踏まえた新たな放流設備の設置や遠隔操作、監視などの機能強化について、今後、利水者である土地改良区やダム管理者の町とも協議しながら検討してまいります。  〔緒方勇二君登壇〕 ◆(緒方勇二君) 土木部長、農林水産部長から、ダムの機能強化について、今後の流域治水を踏まえ、既存ダムの機能を最大限に活用することを答弁いただきました。 事前放流が空振りに終わった場合の対策、農業用の補給水確保、いわゆる中小河川からの揚水施設整備も重要であろうと思います。そのことも併せ、下流の住民が安心できるよう、あらゆる対策に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。 また、それぞれのダムには、大量の土砂や流木が流れ込んできているとお聞きしています。県管理河川で堆積土砂が107万立米と聞いておりますが、両ダムでも、それに近い土砂を捕捉してくれたのではないかと思うところです。 土砂の撤去に当たっては、他の工事への流用や農地等のかさ上げ材料、さらには土砂流入の発生源対策として、治山や砂防施設の建設材料においても積極的に活用し、地域振興や農業振興にもつながるよう、関係部局と連携した活用をお願い申し上げます。 また、清願寺ダムは、小水力発電の有力な候補地と認識しております。先日発表された復旧・復興プランにも再生可能エネルギーの導入推進の項目があり、土地改良区の負担軽減のためにも、小水力発電導入に向けて取り組んでいただきますようお願い申し上げ、次の質問に入ります。 国道445号及び県道25号の強靱化についてお尋ねいたします。 今回の災害で、一時、高速道路だけが唯一の命の道でありました。緊急支援、緊急輸送道路の多重性の確保の課題が浮き彫りになりました。 高速道路がない時代には、人吉、球磨は陸の孤島になりやすいとよく言われました。そのような状況の中でも、相良村内の国道445号は、川辺川沿いにあり、冠水はしましたが、八代市や球磨村の国道219号のように道路そのものが流失するような甚大な被害はありませんでした。今後、国土交通省が計画を策定する川辺川でのダム建設により、強靱化が格段に向上して、道路の安全度が高まると思います。 また、県道25号宮原五木線も、五木村内では被害はありましたが、八代市側では被害はなかったように聞いております。 そこで質問ですが、災害時のリダンダンシーの確保、いわゆる命の道の多重性の確保が重要であるため、緊急支援、緊急輸送道路としての相良村や五木村における国道445号及び県道25号宮原五木線の整備強化の考え方について、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長上野晋也君登壇〕 ◎土木部長(上野晋也君) 国道445号及び県道宮原五木線は、五木村や相良村の方々にとって、八代方面や人吉方面へつながる重要な幹線道路であり、また、緊急輸送道路でもあります。 本年7月には、豪雨の影響により、国道445号で1か所、県道宮原五木線では11か所において、崩土や路肩決壊等の災害が発生したため、約3週間にわたり一部区間で通行止めを行いました。 この間、災害時の救助活動や支援物資等の緊急輸送については、迂回路となった九州縦貫自動車道を利用することにより確保することができ、改めて道路のダブルネットワークの重要性を認識したところでございます。 重要な幹線道路である国道445号及び県道宮原五木線について、災害箇所の早期復旧に向け全力で取り組むとともに、議員御指摘のとおり、リダンダンシー確保の観点から、脆弱箇所の防災対策や局部改良にしっかりと取り組んでまいります。  〔緒方勇二君登壇〕 ◆(緒方勇二君) ダブルネットワークの確保の観点から、しっかり取り組むとの答弁をいただきました。 このルートの強化は、国道445号と国道219号の接続強化、国道445号川辺川沿い対岸の付け替え道路整備、付け替え道路整備は森林整備が格段に向上しますので、これもぜひ取り組んでいただきたいと思います。 また、県道25号球磨管内の強化は、防災関連事業とのことですが、冬場の積雪凍結による通行止め解消のためには、トンネルをぜひ切望いたします。 さらに、県道52号と国道443号との接続を図れば、災害時の命の道の多重性が確保され、相良、五木村から熊本市内へは通勤圏内となりますので、よろしくお願い申し上げ、次の質問に入ります。 復興基幹林道の整備についてお尋ねいたします。 今回の災害では、多くの孤立集落が発生しましたが、山江、球磨村などでは、支川沿いの集落が土砂で埋まり、河川か道路か分からない状況で、カーブミラーでようやく判別できるような状況でありました。 通信も途絶え、車では行けず、水、食料などを道なき道を自衛隊の皆さんが徒歩で行かれ、孤立集落解消に努めてくださいました。人命救出は、自衛隊、消防などのヘリで救出となり、水、食料を届けた帰りのヘリに乗せていただき、千寿園で亡くなられた方の死に目にようやく会えた遺族もおられました。私からも関係者の皆さんに深く感謝を申し上げます。 そして、国も県もすぐさま応急対応に入られ、地域の建設業者が河川の河道確保、道路の啓開に奮闘される姿に敬意を表する次第であります。 最後の孤立集落であった境目地区の下流、沢沿いの糸原地区では、上流の採石場の建設機械を借りて、集落の皆さんが、林道、作業道を活用し、迂回して災害箇所に仮設の道路を造られ、水道管も敷設され、支川小川に仮設の橋まで架けるなど、見事な自助の姿を展開されました。 結果、上流の立野地区、境目地区も孤立集落解消に至りました。 仮設の橋ができて、集落に帰れるとの喜びにあふれ、1階部分の半分は洗掘された2階建ての公民館でぜんざいを食べながら懇談されておられるところにお邪魔いたしましたが、次のように言われました。沢沿いの村道は災害に弱い、尾根沿いの既存の林道や作業道を整備してほしいと訴えられました。 尾根沿いには、昔の参勤交代の道があります。近江原台地の石橋のたもとからは、その昔、石の剣が発見されて、桃源郷のような農村風景を醸しています。今の仮設団地の建った運動公園の上にあり、尾根伝いに大槻地区を経由して大槻大岩線に接続させれば、昔の殿さん道の現代版になります。 球磨川に接している国道219号は、八代まで延長44キロありますが、尾根伝いに既存の林道も含めて再整備をした基幹林道を通せば、延長距離も短く済み、災害時の沢々の集落の救援に上流部から入れることになり、孤立集落を防ぐことにもつながります。大槻集落は、林産業の集積地にもなるようなくぼ地であり、球磨村森林組合の再生には適地であります。 そこで質問ですが、この地域の復興には、林業の再生こそが最も必要であり、そのためには林道整備であります。これらの役割に加えて、災害時には孤立集落が生じても早期の解消につながるなど、命の道としての機能にも期待が寄せられると思いますが、このような基幹的な林道を有機的に結節する整備について、お考えを農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 県内の林道は、今回の7月豪雨により、288路線で約125億円の被害を受けており、平成28年熊本地震及びその後の梅雨前線豪雨を上回る記録的な被害となりました。 今回特に甚大な被害を受けた球磨川流域は、豊富な森林資源が地域経済や雇用、県内の木材供給を担っていることから、森林経営に欠かせない林道を一日も早く復旧することを最優先に、県では、災害直後から、被害の大きな市町村の職員に代わり、被災状況の調査を行ったほか、復旧に向けた技術的支援を行ってまいりました。 また、災害査定についても、9月28日から市町村職員と一体となって対応しており、査定が終了した路線につきましては、順次復旧工事に着手されることとなります。 今後は、地元市町村の復興への考え方を十分踏まえた上で、既存の林道を生かしながら、必要によっては、新規の路線計画も含めて、既設道路と有機的につなげるネットワーク化を推進することが重要だと考えております。 このような道路のネットワーク化を市町村が進める上で、基幹的道路と位置づける林道につきましては、集落間の安全な通行を確保できるよう、舗装やのり面の保全を行うなどの改良等も支援してまいります。 このような取組により、森林整備や木材搬出への林業機械の導入を促進し、地域の主要産業である林業の活性化につなげていくとともに、災害時には迂回路としても活用できる基幹的な林道網の整備を市町村と連携して推進してまいります。  〔緒方勇二君登壇〕 ◆(緒方勇二君) 既存の林道を生かし、必要によっては、新規の路線計画も含めて、既設道路と有機的につながるネットワーク化を推進することが重要であるとの答弁をいただきました。 私は、過去の質問で、人吉、球磨の一般県道未貫通路線が6路線あり、災害時の多重性確保のため、県道整備だけに頼らず、今ある林道、作業道、農道とのベストミックスを図るべきと訴えてまいりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。 また、今回改めて思うのに、林道の未舗装は災害に弱いことが改めて認識させられました。アスファルト舗装やコンクリート舗装をすべきであると考えます。 ぜひとも国道219号の迂回路にもなり得る復興基幹林道の整備を切望いたしまして、次の質問に入ります。 集団移転、高台移転についてお尋ねをいたします。 今回、発災直後から被災地対応に回り、お話を伺うと、直後は、目の前で起きた生々しい現実を憔悴し切ったお顔で話されました。しかし、徐々に水田の青田が回復するように、明日を見据えて話をされるようになります。これも、国や県の直後からの対応や民間のボランティアの皆さんの物心両面のお力添えと励ましのおかげと感謝を申し上げます。 例えば、くま川鉄道川村駅のある奇跡的に避難された西村地区では、直後は、もうここには住めないと言うて、後背地を指さして、あの高台に集団移転したいとおっしゃいましたが、後では、高台の農地は農振地で駄目だそうですねとおっしゃいます。3メートルも浸水した自宅の壁を剥ぎ壊し、差し当たって住もうとされますので、抜本的治水対策が示されるまで、鉄骨納屋に仕切りを造り、仮住まいをしましょうと助言をいたしました。 渡地区の茶屋地区は、津波のように濁流にのみ込まれて壊滅的被害を被りましたから、別れの杯を交わされた集落であります。 国道を挟んだ高台に岩清水がこんこんと湧き出す水飲み場があり、千寿園の作業での泥を落とし、顔を拭いておりますと、同じように、次々と地元の方やボランティアの方々が寄ってきて、ひしゃくで水をくみ、喉を潤し、しばらく皆さんと懇談をいたしました。 渡駅の昔のにぎわい、荷馬車に炭俵を積んで駅のホームに山積みに下ろした話など、川のにぎわいなどを話された後、あの家のお母さんは2階屋根のはりに6時間ぶら下がっていた話、屋根の上に乗って流されていかれた話などをされます。 奇跡的に助かった話ももちろんされましたが、異口同音言われますのが、眼下に広がる激烈な惨状を目の当たりにすれば、もうここには住めぬでしょうねと言われます。抜本的治水対策が示されるまで、いましばらくお待ちくださいと申し上げても、目には希望の光は映りませんでした。神瀬地区でも同様ではないでしょうか。 そこで、抜本的治水対策が示され、復旧、復興の道筋が示され、連動した防災集団移転事業や小規模住宅地区改良事業をどのように進められるのか。また、抜本的治水対策が完成するまでの道のりには相当期間の年数がかかると思いますが、例えば渡地区などは、肥薩線より山側に、今次豪雨による洪水痕跡の高さ以上に、河川内堆積土砂を有効利用して、防災集団移転事業で整備を施し、肥薩線から川側は河川にして、運動公園が仮設団地になった関係上、親水公園陸上競技場にするなど、もちろん村の考えが一番ではありますが、住まいの再建の上に希望を示すためにも、県より促して示すことはできないのか。 渡地区を例にしましたが、その他の地区でも、被災した皆さんと話をすれば、遊水地の利活用や霞堤、二線堤の説明をすれば理解をされますので、県としてどのように流域治水への理解と住まいの再建に欠かせない集団移転、宅地かさ上げを進められるのか、球磨川流域復興担当理事にお尋ねいたします。  〔理事水谷孝司君登壇〕 ◎理事(水谷孝司君) 集団移転、高台移転についてお答えいたします。 先月19日、知事は、球磨川流域の新たな治水の方向性として、緑の流域治水を進めることを表明しました。また、その方向性を基にした復旧・復興プランを24日に公表しました。 このプランでは、かさ上げなどによる宅地再生と高台などの安全な場所への移転促進を直ちに実施する喫緊の取組として位置づけ、既に各市町村と連携しながら取組を進めています。 発災後これまでの間、県では、被災市町村に対して、益城町や西原村などの熊本地震の事例や東日本大震災の事例を示しながら、活用が見込まれる国の事業を国と一緒に紹介するなど、集団移転や高台移転の考え方、財政負担や住民の合意形成に関する課題などの情報共有を進めてきました。 また、被災市町村が実施する集落座談会などにも積極的に参加し、住まいの再建に向けた被災者の生の声をお聴きしてまいりました。 さらに、例えば球磨村では、今後の宅地かさ上げなどにも利用できるよう、県が借地した仮置場に河川等の堆積土砂の確保を始めております。 また、相良村においては、高台移転の候補地を村の職員と一緒になって現地を確認し、事業手法を検討するなど、各市町村の具体的な事業実施を視野に入れた支援にも取り組んでいます。 今後、流域治水に関する具体的な協議が進んでいく中で、堤防や道路、宅地などの復旧方法を検討する際の目安となる流量低減後の水位などが示されていきます。県としては、流域治水の取組について、住民の皆様の御理解、御協力が得られますよう説明を尽くしていくとともに、これらを基に、集落再生に向けた集団移転や高台移転の具体的なイメージ図を作成するなど、市町村が円滑に事業化を進められるよう支援を続けてまいります。 被災された地域の方々の一日も早い安全、安心な住まい、暮らしの再建に向け、引き続き、市町村とともに、被災された方々に寄り添いながら、丁寧に、かつ着実に対応してまいります。  〔緒方勇二君登壇〕 ◆(緒方勇二君) 堤防や道路や宅地などの復旧方法を検討する際の目安となる水位が示されるとの答弁でありました。 まさに、計画高水位が示されないことには何も始まらないということであります。元の場所に建て直してよいのかなど、様々な御意見や思いを聴いているとのことでありました。 あれほどの浸水被害を受けてもなお、避難所生活をしながらもなお、自宅の片づけをしながらも、やはり元の自宅を改修されて住む決断をされる方々がおられます。それは、別の場所での再建等は資金面での課題が大きいのだと思います。今回の被害が大きい流域沿いは、県民所得が低い地域であり、自力再建が難しいのではないかと大変危惧をしておりますので、特段の配慮が必要であると考えます。 また、ダム反対派の方々に来訪いただきましたが、河道、河川掘削のことを強く言われます。しかし、土砂をどこに持っていくのですかと問えば、答えはありません。どこの市町村も恒久的な河川掘削をお願いされますが、土捨場の確保はそちらで考えてみてくださいみたいな話であります。今次災害でどれほどの堆積土砂の量でありましょうか。見当もつきません。 県管理河川では、堆積土砂掘削を来年の出水期までに間に合わせるとのことですが、宅地の再生、かさ上げ等に有効利用をお願い申し上げ、最後の質問に入らせていただきます。 出口戦略としてのジビエ活用についてお尋ねをいたします。 今回の豪雨災害の陰で、水稲もウンカ被害等で不作となる中で、野生鳥獣による被害状況が話題になりませんが、林地や農地が災害により、鹿よけネット、イノシシ侵入防止の金網等が壊れ、また、孤立集落など誰も住まなくなった集落などでは、我が物顔で出没して、獣害が顕在化しております。 狩猟者は高齢者が多く、捕獲者の絶対数も足りない、林道、作業道が被災して通行できず、仕掛けたくくりわなも確認に行けない状況であります。 湯前町猪鹿倉地区では、山地災害、河川災害で現地視察に行きましたら、国道219号は、山地からの泥水で川のように流れ、準用河川都川もあふれ、これで流木が押し出したら大変なことでありました。 この地区では、有名な猟師がおられて、弟子入りされた65歳の猟師さんと2人で、年間、鹿とイノシシ合わせて150頭ほど捕獲されています。この強度の捕獲で、この辺りでは農作物の被害が皆無と言ってよく、田畑に電柵や金網はありません。おかげで、美しい田園風景の中に黄金色の稲穂が輝いておりました。 私は、過去にも鳥獣被害対策を質問させていただいて、迷惑な、危険な獣でありますが、山の恵みでもあります。命を頂く取組をお願いしてまいりました。 水上村では、スカイビレッジに多くの大学の長距離駅伝部が合宿利用されており、宿泊される湯山温泉でジビエ料理を提供されて好評であります。五木村の鹿解体所では、需要に追いつかない状態です。1日、鹿3から4頭解体が限界だそうで、低温熟成4日間を経て出荷で、引き合いに応え切れていない状況にあります。かように山の恵みとしての活用の努力をされております。 私は、学校給食等で、幼少の頃から食習慣として、ジビエ料理に慣れ親しんでおくことが供給先の流通拡大につながり、将来の安定した食材として確立できれば、過疎地域でも狩猟がなりわいとして自活できる若い人が参入すると思います。 人間と獣の知恵比べで、里と山際では、今後もせめぎ合いが続きます。今ではどこにでもいる状況で、危険動物出没情報が毎日のように出る状況にあり、鳥獣被害対策は、ますます重要性を増しています。 県では、ジビエコンソーシアムを設立されて、安定供給の確立、トレーサビリティーの構築、ブランド化の3つの課題解決に取り組まれ、ジビエ利用モデル地区に選定されているところであります。 そこで質問です。 消費拡大に向けたジビエの出口戦略をどのように考えておられるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) ジビエの利活用につきましては、議員御紹介のジビエコンソーシアムによるくまもとジビエの供給体制の構築やブランド化を図ってまいりました。その結果、イノシシ及び鹿のジビエとしての処理頭数は、平成28年度の1,365頭から令和元年度には2倍以上の3,320頭まで増加しております。 また、平成28年度に37店舗だったくまもとジビエを取り扱うレストランは、今年度は60店舗まで増加するなど、確実に定着しつつあります。 一方で、ブランド確立については、幾つかの課題も残されております。例えば、食品としての安全性や品質の確保があります。そのためには、処理加工施設において、県が定める衛生管理ガイドラインに基づく適切な処理加工が行われる必要があります。 また、収益の確保も課題です。 このため、首都圏での商談や広報活動等について、県内の処理加工施設が一体となった活動が必要です。 県では、これらの課題を解決していくため、捕獲された有害鳥獣のジビエへの利用率向上や処理加工施設の機能向上等を進め、くまもとジビエコンソーシアムを核としたくまもとジビエのさらなるブランド化と消費拡大に取り組んでまいります。  〔緒方勇二君登壇〕 ◆(緒方勇二君) 農林水産部長より、ブランドの確立には幾つかの課題、収益の確保等の問題があるとのこと、くまもとジビエのさらなるブランド化と消費拡大に取り組むとの答弁がありました。 私は、ようやく出口戦略がここまで来たなというふうに感じております。都会では、女性が好んでジビエ料理を食べられるとも聞いております。学校給食食材提供事業にぜひジビエを加えるなど、踏み込んだ取組をお願いしたいと思います。 以上で準備しておりました質問は全て終わりました。 結びに、変えてはならないもの、変えなければならないものの選択を迫られているのが、このコロナの時代と考えます。まさに、持続可能な時代を築くことは、命と環境の両立と申し上げ、質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(渕上陽一君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明3日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第5号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時10分散会...